映画では描き切れないドラマティックな生涯とは?『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』インタビュー映像
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(24)の主人公のモデルにもなった、実在した一人の女性の情熱と数奇な運命を映画化した『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』(5月9日公開)。このたび、本作の主演&製作総指揮を務めたケイト・ウィンスレットのインタビュー映像が解禁となった。
トップモデルから写真家に転身し、歴史的一枚“ヒトラーの浴室”を記録したリー・ミラー。本作では20世紀を代表する女性報道写真家が実際に目の当たりにした戦争の悲劇が映しだされる。その名を歴史に刻んだミラーの人生には、マン・レイ、パブロ・ピカソ、ココ・シャネル、ジャン・コクトー、ダリ、コンデ・ナストら時の天才たちとの交流があった。その輝きは写真家としての活動を始めてからもますます強くなり、凄まじい情熱とエネルギーで戦場へと赴いていく。彼女が写しだす写真には、唯一無二の芸術的センスに加え、人間が持つ脆さと残酷さの両方が刻みこまれ、いまもなお、人々を惹きつける歴史的記録として真実を伝えている。
このたび解禁されたのは、ミラーを演じたウィンスレットが主演として、そしてプロデューサーとして語るインタビュー映像。本作で描かれるミラーとは、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』でキルスティン・ダンスト演じる主人公のモデルになった人物で、トップモデルとして多くの天才たちから愛されたミューズであったが、その後、戦場の最前線に赴き、数々のスクープを発信する報道写真家へと転身した20世紀を代表する伝説的な女性だ。
そんな彼女の人生を映画化することを強く望んだウィンスレットは、製作&主演として本作の企画を始動させた。彼女の本作に懸ける熱量は凄まじく、膨大な資料収集と取材に挑み物語を創り上げている。ウィンスレットが「ドラマが数本できるくらいの濃い人生を歩んでいる。人生の後半にも深い味がある」と語るように、ミラーの人生は挑戦と変化に富んでいる。本作では、報道写真家になった30代からの10年にフォーカスをあてたが、20代のミラーは、マン・レイのミューズであり、ピカソやダリら時の天才たちをも魅了した。そして戦後のリーは、PTSDに悩まされるも、「ル・コルドン・ブルーのシェフになり、美容整形もして、自分革命をしていた」と茶目っ気たっぷりに紹介してみせる。
本編はミラーが30代だった、第二次世界大戦の直前から始まる。ピカソが開いた南フランスでのピクニックのシーンだ。ミラーのことをウィンスレットは、「開放感や自由奔放さ、だから風変わりで創造的、超現実主義者でもある」とし、「あの人たちの人生がどれほど美しく、自由で豊かだったかを伝えた。強運な人生を歩んでいた、名声の特権もある」と、ピカソやマン・レイ、親友のソランジュやヌーシュ、のちに夫となるローランドたちと過ごす南フランス時代についても説明する。しかし、「戦争がすぐ隣に見え隠れする時代であった」とも言及することから、物語は第二次世界大戦に突入し、登場人物たち全員が戦禍に巻き込まれていく。
この約10年にフォーカスをあてた理由を、「男性を魅了したリーは忘れる」とし、「女性としての真の姿を見せたかった、つまり第二次世界大戦で戦争報道記者として活躍したリーの姿を」と語る。続けて、「だから本作ではリーを戦場に送った。美貌を失いつつある中年のリーという女性を戦場に置いた物語」であるとし、彼女のドラマティックで色濃い人生のなかからどうしてこの10年間を選んだのか、その理由を明かしている。
本作では戦後のミラーがどうなかったは描かれない。そこにもウィンスレットは言及し、「兵士や写真家、そして記者が経験したであろう悲惨な光景がすべて箱にしまわれていた。アントニーは母の真実を、亡くなったあとに箱の中で見つけた」と説明するように、生前のミラーが息子アントニーに自身が戦争写真家であったことを一度も明かすことはなく、4万枚に及ぶ戦地での大量の写真は、全て屋根裏部屋の箱の中にずっと仕舞われていたという。死後に知った母の真実の姿を「アントニーは人生を賭けて世に出し、後世に伝えようと著書に書き残してきた」と話す。何度も映画化の企画が持ち上がるも実を結ばなかったミラーの物語は、ウィンスレットとアントニーの出会いと築かれた信頼関係によってついに実現されることとなったのだ。
そんな本作をすでに多くの著名人が一足早く鑑賞しており、絶賛コメントが続々と届いている。映画評論家の町山智浩は「彼女の実人生はどんな映画よりも波乱万丈だ」とミラーの情熱的で数奇な運命を歩んだ人生を称え、「その凄まじい経験をこの映画で目撃する!」と本作でしか味わうことのできない魅力を力強く言葉にしている。
本作の公開を記念して、入場者プレゼントの実施が決定。ミラー愛用のカメラ「ローライフレックス」がデザインされた特製ステッカーが数量限定でプレゼントされる。『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』をぜひ劇場で鑑賞してほしい。