【ネタバレレビュー】「キャシアン・アンドー」シーズン2前半戦を総括＆後半戦予想！モン・モスマはついに反乱軍リーダーに？ロマンスの行方は？
「スター・ウォーズ」の骨子ともいえる、悲劇性が色濃く反映されたロマンス
最新の4～6話は3話のラストから1年後、“ヤヴィンの戦いの3年前”の物語。コルサントの隠れ家でビックスと暮らしはじめたキャシアンは、ルーセンから惑星ゴーマンの視察を命じられる。帝国が進出を強めるゴーマンで活動する反乱分子、ゴーマン戦線を支援すべきかどうかの見極めが任務だ。キャシアンはゴーマン戦線のメンバーたちの未熟さを目にして共闘は危険だと訴えるが、ルーセンは支援を決断。モスマの従姉妹ヴェル・サルサ(フェイ・マーセイ)らを送り込み、帝国軍輸送車からの武器強奪計画をサポートさせた。しかし結果的に痛手を負ったうえ、ルーセン自身も、アシスタントのクレヤ(エリザベス・デュロー)が情報収集のため手当たり次第に仕掛けた盗聴器が原因で窮地に立たされることに。一方、モスマも皇帝への対立姿勢を強めたことで周囲から危険視扱いされ、議員活動に陰りが出はじめていく。
ここでもキャシアンら反乱軍たちが苦戦を強いられるが、この章でスポットが当てられたのがビックスだ。シーズン1で帝国軍の拷問を受けた彼女は心に深い傷を負い、2年以上が経過してもしばしば幻覚に近い悪夢に襲われていた。そんな日々から逃れるため、キャシアンの目を盗みドラッグに救いを求めたビックスだったが、第2章のクライマックスとなる6話で、彼女はキャシアンの助けを借り悪夢に打ち勝つ姿が描かれた。
この章にはハードな描写や展開と共にギルロイが「スター・ウォーズ」に持ち込んだ、もう一つの要素が味わえる。それがロマンスだ。これまでもレイア・オーガナとハン・ソロ、アミダラとアナキン・スカイウォーカーの恋愛模様が描かれ、後者は悲劇的な結末を迎えたがその描写はあくまでおとぎ話の範疇だった。しかし心身共に追い詰められたキャシアンとビックスが求め合う姿には、戦争や混乱がもたらす悲劇が色濃く反映されている。また人間性が欠如した帝国ISBのデドラ・ミーロ(デニス・ゴフ)と彼女の恋人になったシリル・カーン(カイル・ソラー)の、ジョージ・ルーカスのデビュー作『THX 1138』(71)に通じるデフォルメされた生活も、これまでの「スター・ウォーズ」にはないおもしろさが味わえる。
7～9話では、いよいよ反乱同盟軍が正式に立ち上がるのか!?
いよいよ残るエピソードは6本。1～3話と4～6話の間で1年が経過していることから、7～9話は“ヤヴィンの戦いの2年前”、ラストを飾る10～12話は“ヤヴィンの戦いの1年前”とカウントダウンをしながら『ローグ・ワン』へとなだれ込む、心憎い展開になっていきそう。時間軸からすると次の章で惑星ダントゥインに仲間を集めたモスマが反乱同盟宣言をして、反乱同盟軍が正式に立ち上がることになるのでは？と筆者は予想する。キャシアンとビックス、ルーセンとの関係、シーズン1でキャシアンが捜していた妹の存在がどうなるか?など作劇上の展開も気になるところ。
またシーズンを通してドックファイトなど派手なシーンは少ないが、シーズン1の11話でのルーセンと帝国巡視船、シーズン2の新型タイ・ファイターなどバトルシーンはどれも思わず拍手！の見応えだった。クライマックスに向け、スペースシップのもうひと暴れに楽しみにしたい。また、過去にゴーマンではグランド・モフ・ターキンによる虐殺が行われたことがここまでのエピソードで明かされていた。反帝国意識の高いこの惑星で、今後いったいどんな出来事が待ち受けているのか…？この動向にも注目したいところ。
名もなき戦士たちの熱き生き様と、悲壮感あふれるストーリーで“泣けるスター・ウォーズ”として称賛されたいた『ローグ・ワン』。その魂を受け継いだ「キャシアン・アンドー」のラストスパートに期待したい！
文/神武団四郎
