山崎貴監督も童心に返る「スター・ウォーズ」という“原体験”。「マンダロリアン」最新作は「ワクワクして待ちきれない」
「自分がいるこの空間が日本じゃないような感じ」
もうひとつの映画『スター・ウォーズ/スターファイター(原題)』(2027年5月28日全米公開)については、「発表の仕方がとにかく洒落ていて。本作のショーン・レヴィ監督が『みんな、ライアン・ゴズリングが主演だと噂しているけど…ひとつ言えるのは、それは本当だってことだよ』…で、ライアン・ゴズリングが登場!というサプライズ。噂が本当なのも驚きなのに、まさか本人まで来てるなんて」と興奮気味に語る。実は山崎監督、バックステージでゴズリングとニアミスしていたそう。そのことを関係者から聞かされると「ああ、やっぱりそうだったんですね!このスタッフさん、やけにイケメンだなあって思ってたんですよ」と笑う。
「SWCJ2025はとにかく、自分がいるこの空間が日本じゃないような感じでした。海外の方も多かったし、全体の内装やライティングもアメリカっぽくて。少し前に行ったNYコミコンの、あの時のムードに近かった。コスプレもみんなものすごいクオリティで、ルークもアソーカも、ほぼ本人じゃないかという人たちがいっぱいいましたよ」。
「『スター・ウォーズ』の世界がもっと広がっていると思わせてくれる」
さて、映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』で描かれるのは、ディズニープラスのオリジナルドラマシリーズ「マンダロリアン」全3シーズンのその後の物語。山崎監督にとって「マンダロリアン」最大の魅力は、「『スター・ウォーズ』の世界が空想ではなく、本当にあるんだと信じさせてくれること」。
「映画シリーズに出てきた脇役や小さなキャラクターたちに多くの時間を割いて、その人たちが普段なにを感じ、どう生きているのかをちゃんと伝えてくれるんですよね。『マンダロリアン』を観ていると、映画で描かれている内容だけではなく、もっと世界が広がっていると感じるんですよ。IG-88がこちらで暴れていたり、ジャワたちがあちらでくだらないことをしていたり。エピソード4〜6と同時進行で、あの時期にいろんなことがあったんだと思わせてくれる。そういうところが好きなんです」。
クリエイター視点では、この作品の技術的核となったLEDウォールに目をみはったという。LEDウォールとは、グリーンバックのように緑一面の背景で撮影し、あとから背景を合成するのではなく、実際に背景素材を投影しながらリアルタイムで撮影できる技法のこと。「技法自体、以前からいろんな人たちが追求し始めていたけど、それをシリーズを作るうえで必要不可欠なツールとして取り入れてしまった。莫大な予算をかけて巨大なLEDウォールのシステムを作って、『あれ?なんかうまくいかないぞ』となったら大惨事じゃないですか。『マンダロリアン』も最初のシーズンはまだそれほど予算が潤沢ではなかったはず。その大部分をあのシステムにつぎ込んだ胆力がまずすごいと思いました。ジョン・ファヴローは『ジャングル・ブック』然り、『無理でしょ』と誰もが思うようなことを、これで行くと決めて、動かして、成立させてしまう。同業者として尊敬します。そして、この技術のおかげで『マンダロリアン』の世界は拡張された。いままでの映画がストーリーに沿って進む従来型のゲームだとしたら、『マンダロリアン』はオープンワールド。『スター・ウォーズ』の世界は本当に存在していて、どこにでもロケに行けると感じられるような技術を開発してしまった。これはとにかく凄まじいことですよ」。