「TOKYO MER」シリーズ初のファンミーティングイベントが横浜で開催!松木彩監督&脚本・黒岩勉が裏設定や演出を語る
「TOKYO MER」シリーズ初のファンミーティングイベント「劇場版『TOKYO MER』1stファンミーティング in 横浜」が4月28日、横浜ブルク13にて開催。松木彩監督と脚本の黒岩勉が登壇。2年前の同日に公開され大ヒットを記録した劇場版1作目『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』の上映前後にトークセッションを行った。
本シリーズは、最新の医療機器とオペ室搭載の大型車両・ERカーで重大な事故や災害、事件の現場にいち早く駆けつけ、「ひとりも死者を出さないこと」をミッションとする救命医療チーム「TOKYO MER」の活躍を描く。シリーズ最新作『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』(8月1日公開)の公開が控えるなか、劇場版の前作の舞台となった横浜でシリーズ史上初となるファンミーティングが開催された。「普段はテレビドラマの現場にいることが多いので、(作品を)観てくれた方のお顔を見る機会がなかなかありません。直接お会いできるのが本当に光栄です」と感謝を伝えた松木監督。黒岩も「脚本家も基本的に人前に出ないので、ファンの方々とお会いできるのはうれしい限り。GW中で、僕たちの登壇で人が集まるのか心配だったけれど、この光景が見ることができて本当にうれしいです」と笑顔で200人以上のファンで埋め尽くされた会場を見渡した。
「連続ドラマが始まったのはコロナ禍。医療従事者の方にリスペクトとエールを送りたいという気持ちで始まった企画です」と振り返った黒岩。「医療ものは世界中にいろいろな名作があるけれど、まったく新しいものをやりたいと思いました」と話し、リサーチで医師たちから話を聞くなかで、「移動ができる車のなかにオペ室があるのが最高!と言われて。それは面白いということで(ERカーの)アイデアが生まれました」と説明。ERカー「TO1」のデザイン案を見た瞬間に「これは面白くなる!」と確信したとも付け加えていた。
初めて企画書を見たときには「医療戦隊ヒーローですか?」と思ったと明かした松木監督。実際に医療従事者に話を聞くなかで「彼らは本当にヒーローだと実感しました。彼らの思いを受け取り、撮影に臨むことがができました」とシリーズ初期の心境に触れていた。
イベントでは「ここが知りたいTOKYO MER」と題して大募集したシリーズファンからの質問に答えるコーナーも。裏設定を知りたいという内容が多かったそうで、喜多見チーフ(鈴木亮平)と千晶(仲里依紗)の出会いについて、喜多見の妹・涼香(佐藤栞里)を殺したテロリスト、エリオット・椿(城田優)の現在などについて解説した黒岩は「涼香さんが亡くなったことについてはSNS上でかなり責められました」と告白。申し訳ないと思ったとしながらも「コロナ禍で毎日死者何百人という数字を見て恐ろしいと思いました。一人の死の重さを描きたいという思いがありました」と説明する場面もあった。
手術シーンをリアルに見せるためのこだわりを訊かれた松木監督は「連携プレー、スピード感」を大事にしているとし、「みんなでひとつのことをやっている感じを、実際の手術を見た際に感じたので、それを伝えたいと思いました。役者のみなさんには大変なお願いだとわかっているけれど、リアルタイムのドキュメントのような感じ、自分が実際に感じたリアルさを残したい」という思いを込めた演出にしていると明かしていた。
上映後のトークでは新キャラクターとの関係性に触れながらのトークを展開。喜多見チーフが初めて目上の医師である南海MERの牧志(江口洋介)と向き合う姿に「いままでにない喜多見チーフが見られると思います!」とアピールした黒岩は「いつもはスーパードクターの喜多見が救う姿が描かれるけれど、今回はちょっとだけ違います。喜多見一人ではどうにもできない、火山噴火という災害に立ち向かう物語です。南海MERチームはもちろん、島民や政府の支援体制など、大勢の力のなかで喜多見がどう動くのかを描いています。一人では救えない!というところに注目してほしいです」と呼びかけた。
沖縄、鹿児島でのロケについて「自然に翻弄されました」と話した松木監督。「吹っ飛ばされそうになったテントなど、自然の厳しさを体感しましたが、そこでしか撮れない綺麗な空、壮大な映像を撮ることができました」と充実感を滲ませる。また食の面でも楽しかったそうで「地元の方からの差し入れのもずくがとてもおいしかったです。地元の方の手作りの海鮮丼は人生で一番おいしい海鮮丼でした!」とおすすめしていた。
最後のあいさつで黒岩は「新作『南海ミッション』はファンのみなさんにも新鮮で、初めて観る方にも楽しんでいただける内容です!」と話し、松木監督も「これまでのMERとも違って、日常や風景も描かれています。日常を描けたのは自分でもすごくうれしかったです。ぜひ楽しみにしていてください!」と呼びかけ、大きな拍手に包まれながらイベントをしめくくった。
取材・文/タナカシノブ