こんな訪問はご免こうむる!『パニック・ルーム』に『ドント・ブリーズ』、『異端者の家』などヤバイ“家”系映画たち
外と遮断された核シェルターから女性が逃げだそうとする『10 クローバーフィールド・レーン』
見知らぬ男のシェルターに閉じ込められた女性が脱出を図る『10 クローバーフィールド・レーン』(16)。車の運転中に事故に遭ったミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は、窓のない部屋で足を鎖でつながれた状態で目を覚ました。そこは元軍人のハワード(ジョン・グッドマン)が所有する核シェルターで、彼は何者かによる攻撃によって世界が汚染されたため外には出られないと説明する。
偏った考えに固執するハワードとミシェルの駆け引き、パラノイア(妄想)を軸に展開しながら、しだいにジャンルをまたいで変容していく世界観に翻弄されるワザありの作品になっている。シェルター内にはリビングやバスルームもあり、生活必需品はすべてそろっているが、窓がないため外の様子は不明。空調ダクトや倉庫を含め、限られた舞台装置を生かしたアクションを交えたせめぎ合いは見応えあり。また、紳士的な態度で接しながら自分が正しいと疑わず、承認欲求も強いハワードのキャラクターはどこか『異端者の家』の屋敷の主人にも通じるところがある。彼を演じる超個性派俳優ジョン・グッドマンと、クエンティン・タランティーノやアン・リーなど鬼才のもとでキャリアを重ねたミシェル役メアリー・エリザベス・ウィンステッドのハイテンションな激突も見どころだ。
各地から集められた幽霊が巣食う遊園地のような豪邸が舞台の『13ゴースト』
ロバート・ゼメキスもプロデュースで参加している『13ゴースト』(01)では、幽霊屋敷を相続した一家が遭遇する恐怖体験が描かれる。火事で妻と財産を失い、子どもたちとぎりぎりの生活を送るアーサー(トニー・シャルーブ)は、変わり者だった叔父の豪邸を相続する。しかしそこは、叔父が霊能者と共に各地から集めてきたゴーストたちが徘徊する呪われた屋敷だった…。
屋敷といってもガラス張りの部屋があったり、機器仕掛けで壁が動くなど遊園地のような奇妙な作り。このからくり屋敷に閉じ込められたアーサーや子どもたちがゴーストたちの謎に挑む、アドベンチャー仕立てになっている。本作は『ローズマリーの赤ちゃん』(68)をプロデュースしたウイリアム・キャッスルが監督した1960年の同名作品のリメイク。オリジナルは伝統的な幽霊屋敷テイストなので、両作品を観比べるのもおもしろい?
“23”もの人格を持つ男によって女子高生が広い地下室に監禁されてしまう『スプリット』
多重人格者に誘拐された女子高校生の恐怖を描いたM.ナイト・シャマラン監督のサイコスリラー『スプリット』(17)。ケイシー(アニヤ・テイラー=ジョイ)ら3人の高校生が見知らぬ男に連れ去られ、どこかの地下室に閉じ込められてしまう。誘拐犯であるケビン(ジェームズ・マカヴォイ)という男が、“23”の人格を持つ精神障害を患っていると気づいたケイシーたちは、自分たちを逃がしてくれそうな人格に取り入ろうとするが…。
物語の舞台となる地下室は、ケイシーたちの監禁部屋のほか、キッチンやケビンの部屋もある広い空間。子どもや女性など様々な人格を見せるケビンに対応しながら、脱出経路を探すケイシーたちの心理戦、しだいに明らかになる本当の敵との確執などシャマランらしいヒネった展開も楽しい。人格が切り替わるたびに別人になるケビンを演じたジェームズ・マカヴォイの存在感、ブレイク前のアニヤ・テイラー=ジョイの初々しさも魅力的な作品だ。