「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」はなぜ高評価?ディエゴ・ルナが語るシリーズの強み「様々なリスクを恐れなかった」
「マンダロリアン」を皮切りに、様々なドラマシリーズが作られるようになった「スター・ウォーズ」。これまで数えきれないほどの人気キャラクターを輩出しているからこそ出来ることであり、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)(以下、『ローグ・ワン』)に初登場したキャシアン・アンドーもそんなひとりと言っていい。『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』(77)でレイア姫が入手するデス・スターの設計図。果たしてそれはどうやって彼女の手に渡ったのか?そのプロセスを解き明かし、シリーズファンの目頭を熱くさせた物語を背負うひとりが、ディエゴ・ルナ演じる反乱軍の戦士キャシアンだった。
その最期の姿と共に忘れられない存在となったキャシアンを主人公にしたドラマシリーズが、その名もズバリの「キャシアン・アンドー」。今回、17年ぶりの日本開催となった「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025」でファン待望の来日を果たしたルナに対面インタビューを実施。本シリーズがなぜここまで多くのファンの心を動かすのか、彼が感じている魅力をたっぷり語ってもらった。
「トニー・ギルロイとはいい仕事ができたと思っています」
『ローグ・ワン』の共同脚本家トニー・ギルロイの思い入れが炸裂した本シリーズは、これまでの「スター・ウォーズ」とはまるで異なるテイスト。登場するのは市井の人々で、SF度もファンタジー度も極限まで下げられ、“ジェダイ”や“フォース”もほぼ登場しない。というのも、ギルロイがこだわったのは「スター・ウォーズ」の世界観でジョン・ル・カレ(数々の名スパイ小説を生みだした小説家)をやること。つまり、サスペンスフルなスパイもの、エスピオナージものをやろうとしたからだ。が、この大胆不敵な試みは大成功を収めた。映画やドラマの批評の集計サイト「Rotten Tomatoes」では、批評家たちから驚異の96%フレッシュ(2025年4月23日現在)を獲得し、もしかしてこれまでの「スター・ウォーズ」ドラマシリーズすべてを凌駕するのでは…!?というほどの高評価を受け、シーズン2が製作されることになったのだ。
そのシーズン2は『新たなる希望』で描かれる反乱軍vs帝国軍の戦いの、あのデス・スターを破壊した“ヤヴィンの戦い”までの4年間をカウントダウンで追っていくという構成。パルパティーンの支配力が強まり、銀河宇宙の人々が圧政に苦しむなかで拡がっていく自由と希望のための戦いを描いている。もちろん、その主人公、キャシアン・アンドーを演じるのはディエゴ・ルナ。『ローグ・ワン』から過去に遡るこのシリーズは彼の過去を解き明かす物語でもある。
「役者としては常に演じるキャラクターのバックストーリーを考えなければいけないんです。なぜなら、彼はどうしてその言葉を口にするのか、自分自身を納得させるのが僕のやり方だからです。キャシアンは『ローグ・ワン』で反乱軍に入ったわけだけど、ではなぜ入らざるを得なかったのか?どうもかつては恐ろしいことをやっていたらしいが、それはどんなことなのか?正直、『ローグ・ワン』で僕が考えていたキャシアンのバックストーリーと、トニー(・ギルロイ)のそれは重なってなかったですね(笑)。が、そういうことを話すなかで、彼とはいい仕事ができたと思っています。あ、そうだ。ひとつだけ重なったところがありましたよ。キャシアンが難民だったというところ。強制的にほかの土地に行かざるを得なかったという設定は同じでした」。