丸山隆平「芝居欲がハンパなかった時期」『金子差入店』ジャパンプレミアで古川豪監督との思い出を照れながら告白!
映画『金子差入店』(5月16日公開)のジャパンプレミアが4月24日、有楽町朝日ホールにて開催され、主演の丸山隆平、共演の真木よう子、三浦綺羅、川口真奈、名取裕子、寺尾聰、古川豪監督が登壇した。
本作は刑務所や拘置所への差し入れを代行する“差入屋”を営む家族の絆と、彼らが巻き込まれる不可解な事件をきっかけにその絆が揺らいでいく姿を描くヒューマンサスペンス。丸山が『泥棒役者』(17)以来8年ぶりに映画主演を務め、長編映画デビュー作となる古川監督がメガホンをとった。
古川監督は助監督として参加していた『おくりびと』(08)での物語の作り方に感銘を受け、おもしろい職業に出会ったら映画で描いてみたいと思っていたそう。描きたい職業に出会い、長い年月をかけて作り上げた物語の主人公に丸山を起用した理由について、「グループでは最後の大ボケをかます人というイメージだったのですが、お会いした時に『めっちゃ芝居やりたいんですわ』と言って、一般の方を巻き込んでエチュード(即興演技)をやっていた姿が印象に残っていました」と振り返った古川監督。古川監督の暴露に「当時は芝居欲がハンパなかった時期。お芝居って簡単な仕事ではないし、なかなか役に出会えなかった時で…」と補足した丸山は、「酒場でエチュードをしてしまいました(笑)」と照れながら告白し、観客の笑いを誘っていた。
テーマは“差入”だが、内容は人にフォーカスしている作品と説明した丸山は古川監督の思い描いているものを形にすることに対し、「やらせてもらえるなら!とうれしく思うと同時に、(思いを)形にできるようにということに対してはプレッシャーでもありました」と正直な気持ちを明かす。古川監督が見つけたテーマで、完成させた物語であることから役を構築する際には「監督をよく観察しました」と話した丸山。「動きとかではなく、生き方だったり、家族に対しての向き合い方、愛情など、日常のエピソードや若いころの話なども聞いてエッセンスとして参考にさせていただきました」と本作ならではの役作りを解説していた。
丸山演じる主人公の妻を演じた真木は「丸ちゃんのことは大好きで、仲良しでよく知っているけれど、本番で見る顔は(普段と)全然違っていて。こんなに(役に)入っている丸ちゃんを見るのが初めてで、思わず『丸ちゃん大丈夫?』って駆け寄ってしまうことがあって…」と丸山の役への入り込み方がハンパなかったと指摘。物語については「決して完璧ではない不器用な大人の支え合いがリアルに伝わってくる作品。心にグサグサささって大好きな作品です」とすっかり心を奪われたことも明かしていた。
三浦は両親役の丸山、真木との撮影の思い出を訊かれると「めちゃくちゃ楽しかったです」とニッコリ。丸山とは一緒に話したり、ご飯を食べたりして過ごし、真木とは小学1年生くらいのころから持っているクマの人形の話をしたり、一緒に遊んだりしたとうれしそうに報告。本作で映画デビューを果たした川口は「やれる限り全力で演じました」と胸を張り、「試写で2回観ましたが、大きいスクリーンに自分が映っていることが新鮮で感動しました。3回目は映画館で観たいです!」と宣言すると、古川監督がすかさず「(ご鑑賞)ありがとうございます!」と返し、笑いを誘う場面もあった。
普段とは違うタイプの役を演じた名取は古川監督が最初に参加したドラマの主演を務めた縁がある。役については「わけがわからないという印象。でもやっているうちに、こんな迷惑しかかけないような人でも、どこかに甘えや信じているものがあるような気がしました」とコメント。同じく古川監督が助監督を務めたドラマで主演を務めたことのある寺尾だが、その役はあてがきだった。しかし、あてがきにもかかわらず、出演依頼を何度か断ったことを明かした寺尾は「書き直した本がどんどんおもしろくなっていき、引き寄せられていきました。自分で見つけた題材を自分でシナリオにして、自分が監督になるまで(に作り上げた)。ここに辿り着くのは容易ではない。これを成し遂げただけでも評価に値します」と称賛。さらに「この作品でチャンスを広げて、さらに次の映画にも期待しています。ぜひ応援してください」と観客に呼びかけ、大きな拍手を浴びていた。クランクアップは寺尾と一緒だった丸山が「クランクアップの後いただいた言葉を胸にこれからの役者人生を大事にしていきたいと思いました」と感謝する場面もあった。
イベントでは映画にちなみ、丸山がこの日の登壇者に差し入れたいものを発表することに。真木にはクスッと笑える写真や言葉を、三浦には定期的に癒しを差し入れてもらうことを目的に食事券を、暇つぶしができるものが欲しいという川口には「丸山隆平お呼び出し券。いい暇つぶしになるぞ!」と提案し、会場は大爆笑。名取へはおいしい和菓子を、寺尾には自身が普段使っているベースと寺尾愛用のベースのトレードを提案し、セッションを希望。「僕のベースは中三の時から使っているもの。世界遺産になっている木を使っているので売ると5、600万はする」と語る寺尾に、即座に「ください!」とおねだりした丸山だったが、「あげられません」とのお断りが。2人のやりとりに会場が笑いに包まれるなか、寺尾は「ベースを弾く俳優は少ない。私か、丸山か、スティングか…」と切りだし、「ベースを弾きながら歌うのは非常に難しい。彼のステージをテレビで観たけれど、なかなかいい。俳優業と共にもっと続けてくれるといいなと思っています。期待しています」と話すと、丸山は大きく頷きながら「絶対、頑張ります!」と力を込めて宣言し、会場から大きな拍手を浴びていた。
古川監督への差し入れは「観客動員数」と回答し、「監督の長編デビュー作。日本独特の職業を世界のたくさんの人にも観て欲しいです!」と想いを伝え、「世界にも届くように願っています」と笑顔。最後の挨拶では「たくさんの人に届いて欲しいものが詰まった作品です。身近な大切な方とみて欲しいし、おすすめして欲しいです。ぜひ、楽しんでください!」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ