【TOHOシネマズ 直方篇】活発で明るい直方市民は車&ポップコーン好き?映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集!
オープン直前に起きた福岡県西方沖地震を乗り越えて一致団結
「TOHOシネマズ 直方」がオープンしたのは2005年の4月8日で、現支配人は当時、映写技師のアルバイトとして勤務していたそうだ。「あのころはデジタルではなく、フィルム上映だったので、フィルムを装填していました。約1年後に社員になり、以降はほかの映画館へ移って、ちょうど20周年を迎える前に直方に戻ってきました」。直方のオープン前の準備期間では、忘れられない思い出があると言う。「オープンの2週間ぐらい前、ちょうど研修をやっていた3月20日に、マグニチュード7.0の福岡県西方沖地震が発生しました。震度6ぐらいの大きな揺れで、一旦、研修も中断されたため、オープンに間に合うかだろうかとバタバタしました。結果的には間に合ったのですが、残りの研修期間をみんなで頑張ったことは、いまでも覚えています。そうやっていいチームワークも築けたと思います」。
オープン当初、映画館は大賑わいだったそうで「チケット売り場が、当時はオンラインや自動発券機ではなく、アルバイトによる対面販売がメインだったので、てんやわんやでした。特に4月9日に公開された『名探偵コナン 水平線上の陰謀』の時は、ものすごい行列になっていた気がします。アルバイトもかなりの人数がいましたが、ポップコーン売り場もロビーがいっぱいになるほどの人だかりとなりました」と当時を振り返る。
一番チラシの減りが早かった映画についてのアンケートでは、『花より男子ファイナル』(08)と『GANTZ』(10)という答えが出たが、支配人によると「アルバイトさんからの情報です。映画館が開業後、1~2年でうちに入り、そこからずっと働いている方がいらっしゃるので」とうなずく。支配人も含めて、アルバイトから社員になったり、長い期間、アルバイトを継続している方も多いそうだが、「町自体はのんびりしていて、アットホームな感じの職場なので居心地がいいのかなとも思います」と言うが、確かに職場環境の良さがうかがえる。
『恋空』や『妖怪ウォッチ』フィーバーも全員総出で乗り切る
公開前に反響が多かった映画としては、『恋空』(07)や『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(14)が挙げられた。特に『恋空』は公開前から反響が高くて問い合わせも多く、公開時も予想を超える人気ぶりで、劇場内が人であふれかえった。「当時、『来られる人は全員来て!』とバイトから社員まで朝イチに呼ばれたことを覚えています。また、劇場はイオンの2階にあるので、営業開始の10時まで通常シャッターが閉まっていますが、1階だけではお客さんが入れなくなってしまい、すごいことになりました!当時の支配人もチケット購入者の最後尾にプラカードを持ってお客さんを誘導しつつ、ずっとみなさんをご案内していたことも覚えています」と、当時を懐かしむ。
『映画 妖怪ウォッチ誕生の秘密だニャン!』はムビチケの販売初日に早朝から多くの観客が駆けつけた。お目当ては劇場内設置のガチャガチャで“妖怪ウォッチのメダル”を手に入れること。こちらも大盛況で、メダルを補充するかたわら、子どもたちが購入するための列を作るため、パーティションを設置したのは後にも先にも本作公開時のみだったと言う。そのほか、当館で開催された印象的なイベントについて、福岡県出身の瀬戸康史ら登壇の『劇場版仮面ライダーキバ 魔界城の王』(08)の舞台挨拶を挙げ「福岡が瀬戸さんの地元ということもあり、すごく賑わいました。瀬戸さんは当時から人気があり、ロビーに入れなかったお客さんもいました」と支配人は語る。
「うちはローカルな劇場なので、あまり芸能人登壇のイベントはなかったのですが、『ドラえもん』や『ポケットモンスター』の映画が公開時に、スタッフさんがドラえもんやピカチュウの着ぐるみを着て参加したイベントはよく開催していました。当時のスタッフさんに聞いても、大変だったけど、映画館ならではのいい思い出になってよかったと言っています」。
また、柳楽優弥主演の『星になった少年 Shining Boy & Little Randy』(05)のキャンペーンで使ったゾウの大きなぬいぐるみは子どもたちの間で好評を博し、近所の幼稚園に寄贈されたというほっこりしたエピソードも。きっと直方在住の方の間では、映画館での様々な思い出が人生の1ページとして刻まれているに違いない。
なおTOHOシネマズの全国17劇場で開催中のアニバーサリーキャンペーンでは、4⽉から12⽉の9か⽉間にわたって、様々なサービスを展開していく。対象劇場は今回特集した直方をはじめ、5周年の池袋、⽴川⽴⾶、10周年の新宿、ららぽーと富⼠⾒、アミュプラザおおいた、15周年の上⼤岡、20周年の府中、ひたちなか、⽔⼾内原、津島、⼆条、25周年の浜松、ファボーレ富⼭、岐⾩、泉北、⼤分わさだの17劇場だ。ぜひ最寄りの場所や気になっている映画館をチェックし、この機会に訪れていただきたい。
取材・文/山崎伸子