“紙マイクラ”クリエイターも驚く『映画マイクラ』の世界!「ゲームの世界観を壊さずに、実写だからこその細やかな表現」
「映画を通して、マイクラ世界のモンスターの存在感や雰囲気を再認識できる」
映画で登場するキャラクターのなかで最初に驚きだったのは、ブラックが演じたスティーブだったと話す。水色のシャツにブルーのパンツのデフォルトスキン(=キャラクターの姿)の一つであるスティーブは、マイクラプレイヤーならば思い入れがある存在であり、映画でもその姿はしっかり再現されている。
「ゲームでのスティーブは、まったく喋らない寡黙な男なんですけど、映画を観たあとだとジャック・ブラックさんのように、実はゲームの中でもいろいろ喋っているような気がしてきました(笑)。イメージが変わるほどインパクトがあって、喋ったり歌ったりするスティーブをおもしろく観ることができました」。
そして、動物やモンスターなどが映画ではしっかり再現されているが、これらの実写映像化にはどのような感想を抱いたのだろうか?
「モンスターもすごくよかったです。マイクラはモンスターも立方体で構成されていて、見た目は結構ポップで可愛く描かれているので、“実在感”をなかなか創造できないんですが、映画ではかなりガチでモンスターになっていて、気持ち悪さや怖さもありましたね(笑)。『モンスターってこういうことだよね』とすごく納得できるというか。ゾンビは腕をもぎ取られるシーンがあるんですが、その時に『ああ、ゾンビだからこういう表現もできるよね』と。ゲームの中だとゾンビじゃなくて、ゾンビのビジュアルをしたキャラクターだと思っていたりするので。映画を通して、マイクラ世界のモンスターの存在感や雰囲気を再認識できるのもおもしろかったです」。
「ギャレットには本当に感情移入しながら観ちゃいました」
こうしたゲームを映像表現する部分だけでなく、マイクラを映画にするために付け加えられた、オリジナルの要素であるストーリーやドラマに関しても、強く共感できたという。なかでも、1980年代にゲームチャンピオンとして人気を博したものの、いまはなにをやってもうまくいかない中年男性である“ガーベッジマン”ことギャレットには、感じ入るものが多かったそうだ。
「ギャレットには本当に感情移入しながら観ちゃいましたね。映画を観ながら、彼と僕は共通点が多いなと感じていて。人間って、結局なにをやってもうまくいかない、失敗ばかりの時ってあるじゃないですか。映画のギャレットはまさにそういうキャラクターなんですよね。でも、彼は背水の陣でイチかバチかやってみようとする。そういう思いって大事だなと思わせてくれるところはよかったですね。それこそ、僕も全然うまくいかないことばかりという時にマイクラに助けられたんですが、アイデアを活かせば道が切り開けるところとか、頑張ってよかったと思える時がある感じは、共感しましたね。映画としてはマイクラ好きの子どもでも楽しめるようにネタをたくさん仕込んでいるんですが、一方で大人には大人の楽しみ方ができるようなメッセージ性が込められているのも大きな魅力だと思いました」。
実写映画としてのおもしろいものを魅せる新たな可能性を示しているが、マイクラファンから見ると、まだまだ映画化できる要素が多く残っているそうだ。今作の世界的大ヒットを受けて、続編に大きな期待を膨らます。
「マイクラは基本的にはストーリーはないんですが、ボスキャラはちゃんと存在しているんです。でも、今回の映画ではそこはまったく出てこなかったんですよ。エリア的にも砂漠とか海底神殿が登場する舞台もあるし、エンダードラゴンが生息する『ジ・エンド』というワールドもあって。それぞれは景色が一変するので、そこを舞台にした物語も楽しそうです。実写での表現がここまでできるとわかったので、夢は広がりますね」。
そしてマイクラが10年以上も愛される理由の一つである、ゲームに新たな要素が加わる“アップデート”に絡んだネタなども込められており、そこもファンとして楽しめたポイントだ。「ガストという浮遊しているモンスターがいるんですが、ゲームの次のアップデートではガストにゴンドラを付けて移動できるようになるんです。それが映画のほうではいち早く表現されて登場していたのでおもしろいなと。映画とゲームがしっかり連動しているようなところにも、よさも感じました」。