罪を背負う青年と黒い犬との絆を描く!注目のチャイナノワール『ブラックドッグ』9月公開へ
2024年の第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて最優秀作品賞を受賞した中国映画『ブラックドッグ』が9月19日(金)に公開されることが決定。あわせて、ティザーポスタービジュアルが解禁となった。
国際的評価が高いロウ・イエやジャ・ジャンクーらに代表される、第六世代と言われる中国映画ニューウェーブから新たに結実した気鋭、グァン・フーが監督した本作。カンヌ国際映画祭では優秀な演技を見せた犬に贈られるパルム・ドッグ賞の審査員賞も同時受賞している。
本作は、チャイナノワールの譜系に連なる、罪を犯した一人と一匹の孤独な魂の邂逅と再生をブルーグレーの映像美で描きだす孤高のヒューマンドラマ。舞台は2008年、北京オリンピック開催間際の中国。誤って人を殺めてしまった青年ランは刑期を終え、ゴビ砂漠の端にあるさびれた故郷に帰ってくる。人の流出が止まらず廃墟が目立つ街には、捨てられた犬たちが野犬化し、群れとなっていた。ランを気に掛ける警官から地元のパトロール隊に誘われた彼はある日、群れには入らず一匹で行動する黒い犬と出会う。頭が良く人に決して捕まらないその犬とランの間には、いつしか奇妙な絆が育まれていく。
解禁されたティザーポスターでは、遠くまで広がるゴビ砂漠の壮大な風景、灰色の雲が覆う山々が印象的に写しだされるなか、ランが古びたオートバイにまたがっている姿が切り取られている。その傍らのサイドカーからは黒い犬が顔を出し、彼を見上げている。荒々しい風景のなかで、視線を交わす2人の間に存在する信頼と絆を感じさせる瞬間を切り取ったビジュアルだ。
主演は『疾風スプリンター』(15)、『オペレーション・メコン』(16)などアジア圏で絶大な人気を誇る肉体派俳優エディ・ポン。これまでの役柄と違った寡黙で孤独の影が滲むランを時にユーモラスに演じている。また、ランに生命力をもたらす雑技団員のグレープを中国で活躍するトン・リーヤーが、そのほか『帰れない二人』(18)などの映画監督ジャ・ジャンクーも重要な役どころで出演している。
監督のグァン・フーは第72回ヴェネツィア国際映画祭クロージングとなったクライムアクション『ロクさん』(15)、日中戦争を描いた大ヒット作『エイト・ハンドレッドー戦場の英雄たちー』(20)などを手掛けてきた最注目の一人。その最新作となる本作は「見事な撮影による、感動的なチャイナノワール」(Variety)と海外でも高く評価され、第69回バリャドリッド国際映画祭での監督賞&撮影賞のW受賞をはじめ、世界中で10以上の賞を受賞してきた。さらに、2025年インディペンデント・スピリット賞外国映画賞や2024年ゴッサム賞監督賞にノミネート、第37回東京国際映画祭のガラ・セレクション含む、15以上の映画祭に出品され世界で絶賛されている。そしてこのたび、5月4日(日)~6日(祝・火)で開催される第3回横浜国際映画祭でのオープニング上映も決定している。
罪を背負う青年と黒い犬との絆を描く『ブラックドッグ』。その映像美、名演にも注目してほしい。
文/平尾嘉浩