アニメ映画世界興収歴代1位『ナタ 魔童の大暴れ』のなにがすごい?知っておけばより楽しめるポイントを解説!

コラム

アニメ映画世界興収歴代1位『ナタ 魔童の大暴れ』のなにがすごい?知っておけばより楽しめるポイントを解説!

アニメ映画世界歴代興行収入1位を獲得した映画『ナタ 魔童の大暴れ』が現在日本で公開中だ。今年の旧正月に中国で公開されるや、中国全土で社会現象を巻き起こし、世界各地でも次々と公開。3月15日までの世界興行収入が150億1,900万元(約3,100億円)を突破し、実写映画を含めた世界興収ランキングでも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)を抜いて5位となった。爆発的ヒットを記録している要因はどこにあるのか?映画ライター新田理恵がその魅力と作品の背景を読み解く。

アニメ映画世界興収歴代1位を記録した『ナタ 魔童の大暴れ』
アニメ映画世界興収歴代1位を記録した『ナタ 魔童の大暴れ』プロデュース&製作;可可豆動画 彩条屋影業

アニメの映像美に魅了!少年マンガのような笑って泣けるストーリー

主人公のナタ(哪吒)は、「西遊記」(さいゆうき)や「封神演義」(ほうしんえんぎ)などの有名な神話に登場する少年で、中国人なら誰もが知っているキャラクター。『ナタ 魔童の大暴れ』は、そんなナタが試練に立ち向かい、成長していく姿を壮大なスケールで描いている。

実はこの映画、シリーズものの2作目にあたる。中国では2019年に『哪吒之魔童降世』(原題)という作品が公開されており、こちらも中国興行収入歴代5位の大ヒット。日本でも2019東京・中国映画週間で『ナタ~魔童降臨~』の邦題で上映された(現在は残念ながら配信を含めて日本で鑑賞する術はない)。そんな前作の大ヒットを受け、同じ餃子(ジャオズ)監督と制作チームが5年の歳月をかけて完成させたのが、この『ナタ 魔童の大暴れ』だ。とりわけ最新のCG技術を駆使した映像美に対する評価が高く、妖怪をつなぐ鎖の質感や迫力ある海の描写、龍族のうろこなど、細部にまでこだわりが見える映像は見応え十分。できることならIMAXでの鑑賞をおすすめするが、通常スクリーンで観ても中国アニメのクオリティの高さに驚くはずだ。

144分の眼福!迫力ある描写や火・水など細部までこだわった映像は見応え抜群(『ナタ 魔童の大暴れ』)
144分の眼福!迫力ある描写や火・水など細部までこだわった映像は見応え抜群(『ナタ 魔童の大暴れ』)プロデュース&製作;可可豆動画 彩条屋影業

神話がベースとはいえ、どこか少年マンガ的な軽快なノリとユーモアがあり、それもヒットにつながった要素だろう。ナタは3歳という年齢設定のため、全編にちりばめられたギャグやイタズラの数々がくだらなさを極めている(褒めている)。筆者は世代的にかつてのチャウ・シンチー映画を思い出した。

そうしたギャグは子どもたちにもダイレクトに刺さるらしく、4月2日に東京で行われたIMAX特別先行上映会では、招待されていた子どもたちの笑い声が場内にあふれていた。ナタのイタズラや妖怪との戦うシーンでは笑い、母親との感動的なシーンではすすり泣く声が聞こえるなど、中国では老若男女が劇場に足を運んだというのも納得のリアクションと熱気が感じられる時間だった。

ナタと妖怪が戦うシーンもコメディ要素満載(『ナタ 魔童の大暴れ』)
ナタと妖怪が戦うシーンもコメディ要素満載(『ナタ 魔童の大暴れ』)プロデュース&製作;可可豆動画 彩条屋影業


「ナタの世界に馴染みのない日本人が、1作目を飛ばして本作から観た時に十分楽しめるか?」という不安を持っている方もいると思う。「予備知識があるに越したことはない」というのが正直な感想だ。そこで、これを知っていれば、より映画の世界が楽しめるというポイントを、いくつか紹介したい。

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