アニメ映画世界興収歴代1位『ナタ 魔童の大暴れ』のなにがすごい?知っておけばより楽しめるポイントを解説!
ナタとゴウヘイの友情がアツい!現代に通じるメッセージが胸に響く
物語のスケール、映像の美しさもさることながら、『ナタ 魔童の大暴れ』の最大の魅力は、現代に通じる力強いメッセージ性にあると思う。
「自分の道を行く。魔か仙かは自分で決める」というナタのセリフがある。
「混元珠」の話に戻るが、ナタとゴウヘイに宿った混元珠というはエネルギー体のようなもので、そのうち魔丸(悪)が人間であるナタに宿り、霊珠(善)が妖怪であるゴウオツに宿ったわけだが、その人(というか妖怪というか)の性質を決めるのは結局、自分次第なのである。
魔丸を宿したナタは、修業によって善き人となれるよう精進するし、ゴウヘイは一族の境遇を改善するべく仙界に上がろうと頑張る。そんな2人の友情が、この映画の軸になっている。
種族や属性による偏見や差別を乗り越えようとするナタの姿に、逆境にいる者は勇気づけられ、一族の願いと上の世代の価値観を押しつけられて苦しむゴウヘイに、親からの過大な期待に苦しむ現在の若者は大いに共感したのではないだろうか。
最新のCGを使って神話の世界を描きつつも、友情、親子愛、正義の心とテーマはいたって普遍的。中国アニメの強みである東洋的な要素を盛り込んだ映像美と、老若男女に愛される古典を組み合わせれば、国内外の観客により広く訴求できる可能性を秘めている。
現時点での中国アニメの最高峰『ナタ 魔童の大暴れ』の世界をぜひ体験してみてほしい。
文/新田理恵
※記事初出時、作品タイトル原題表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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