長澤まさみ、『ドールハウス』謎の人形“アヤちゃん”は「共演者」と愛情たっぷり!矢口史靖監督は長澤の“ムンク顔”を絶賛「バッチリです」
第45回ポルト国際映画祭グランプリを受賞した『ドールハウス』(6月13日公開)の凱旋報告会が4月5日に東京ポートシティ竹芝のポートホールで行われ、長澤まさみと矢口史靖監督が出席した。
長澤が脚本のおもしろさに出演を熱望したという本作は、110分の間、怒涛の展開を見せるノンストップの“ドールミステリー”。5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵(長澤)と夫の忠彦(瀬戸康史)。哀しみに暮れる佳恵は骨董市で見つけた芽衣によく似た愛らしい人形をかわいがり元気を取り戻していくが、佳恵と忠彦のあいだに新たな娘・真衣が生まれると、2人は人形に心を向けなくなる。やがて5歳に成長した真衣が人形と遊ぶようになると、一家に変な出来事が次々と起きはじめる…。脚本、監督を『ウォーターボーイズ』(01)、『スウィングガールズ』(04)などを手掛けた矢口史靖が務めた。矢口監督は「いままでハッピーな映画をたくさん作ってきました。今回は真逆。背筋が凍る、ゾクゾクする映画を初めて作りました。手応え、バッチリです」と自信をのぞかせていた。
世界三大ファンタスティック映画祭のひとつであるポルト国際映画祭では、5分間にわたるスタンディングオベーションが巻き起こり、最高賞である「Best Film Award」を受賞。海外20か国以上での上映も決定している。矢口監督はポルト国際映画祭のトロフィーを手に、「普通のことが起きない映画を集めた映画祭に行ってきました。並みいる強敵のなかで上映をした。グランプリを獲れました」と喜びをにじませ、大きな拍手を浴びた。観客の反応は「こちらが驚くほどよかった」そうで、「席から立ち上がってびっくりする人もいて。そこまでか!と思いました。日本人のお客さんよりも反応が派手だということは覚悟はしていたんですが、つい僕も『これはいける』と有頂天になりました」と興奮気味に振り返っていた。
長澤は、愛らしいが主人公の家族を翻弄していく謎の人形“アヤちゃん”を抱いて登壇。矢口監督によると、海外でも“アヤちゃん”は大人気だったという。長澤は“アヤちゃん”の頭をなでたり、手を取ったりしながら、「本当にかわいい。一緒に共演させていただいて、毎日アヤちゃんの表情が変わっていくのをそばで見ていた。愛らしくて、人に好かれる子なんだなと思いました。アヤちゃん自身が魅力的で、惹きつけてしまうなにかを持っている」と“アヤちゃん”の魅力に惚れ惚れ。「アットホームな映画祭で認めてもらえた、受け入れてもらえたことは、日本の皆さんにも楽しんでもらえるんじゃないかと自信がついた気がしました」とポルト国際映画祭での受賞を喜んでいた。
矢口監督と長澤のタッグは、『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』(14)以来のこととなった。原案、脚本も担った矢口監督は、制作陣に主演は長澤でお願いしたいと申し出たとのこと。「『WOOD JOB!』に出ていただいて、いつかガッツリやりたいと思っていた。ジャンルは違うけれど、今回は主演でお願いしたいと思いました。長澤さんに脚本を読んでもらったら、すぐに返事が来て『出たい』と言ってもらえた」と感謝しながら、「そこからすごくスピードが速かったです。こんなに企画が決まるのがスピードが速いのは、初めて体験しました」と述懐。
長澤は「ストーリーの展開の速さ、スピード感にのめり込んでしまった。『どこまで行くんだ、この作品は』と私の胸をつかんでしまった」と脚本を読んで心が躍ったといい、「『WOOD JOB!』でお世話になりましたが、撮影日数がとても少なくて。もっと監督と一緒に仕事をしたかったなという想いが以前からありましたので、監督とお仕事ができるならぜひこの役を演じてみたいなと思いました」と相思相愛の想いを告白。「ゾクゾクする物語。監督がどうやって作るのかを見てみたかったというのもあります」と矢口監督の新境地にワクワクしたと話していた。
タッグを重ねたことで、改めて長澤の魅力を実感した様子の矢口監督。「『WOOD JOB!』で、感情の細かい表現もできるし、ド派手な笑いのシーンもできる。なんでもいけるんだと思った」と振り返りながら、「『ドールハウス』の佳恵は、普通のお母さんが体験するよりも、ものすごくどん底と幸せな空間を行ったり来たりする。気持ちのメリハリがグルグル変わっていくので、それができる人は誰かなと思った時に『長澤さんしかいないだろう』と思ってお願いしました」とオファーの理由を吐露。今回はゾクゾクする映画で主演を任せたが、「バッチリですよ!」と大満足の表情を見せ、「僕は“ムンク顔”と呼んでいるんですが、その“ムンク顔”がタイトルが出るまでの一番つかみのシーンでドカンと来ます。そこで観客にショックを与えられないと、そのあと観続けたいと思ってもらえない。つかみの部分、バッチリです。これを観たら、途中で止めるわけにはいかない。トイレにも行かれないんじゃないかな」と長澤の叫び顔が最高にすばらしかったと熱弁した。
「監督に『いままでしたことがない、恐怖を感じた顔をしてくれ』と言われた」とそのシーンの撮影を回顧した長澤は、「『うん?どういうことだ?』と思いながら、できる限り自分のいままで見たことのない顔を想像しながら」とにっこり。矢口監督が「その表情が生ぬるかったら、観客にもゾクゾクしてもらえない。長澤さんの“ムンク顔”を目に焼き付けてほしいです。こんな顔ができるのかと、楽しみにしてほしい」と再び熱っぽくアピールすると、長澤は「“ムンク顔”なんて考えたことがなかった」と笑いながら、「意識して演じるというよりは、その場で感じるものに対して素直に反応して、私もゾクゾクしたかった」とその世界に入り込んだことを明かしていた。
“アヤちゃん”について「共演者だと思っています。信頼がある。一緒にいるシーンは一人じゃないと思える」と終始、愛情を傾けていた長澤。「この物語がどんな展開を迎えるのか、ワクワクドキドキ、ゾクゾクしながら作品にのめり込みました。映画館でも皆さんにその感覚を一緒に味わっていただけると思います」と呼びかけた。矢口監督は「いままで誰も観たことがないものを目指しました。大勢のお客さんにジェットコースターに乗るような感覚で、映画館で観てほしい」と力を込めていた。
取材・文/成田おり枝