ジェイソン・ステイサム主演『A Working Man』が北米No. 1発進!4K&IMAXで公開の『もののけ姫』が好成績でランクイン
先週末(3月28日から3月30日まで)の北米興収ランキングは、前週初登場No. 1を飾った『白雪姫』(日本公開中)の急落もあり、僅差ではあるがジェイソン・ステイサムの主演最新作『A Working Man』が首位スタート。ステイサムの主演映画が首位を飾るのは、コロナ禍に公開された『キャッシュトラック』(21)以来となる。
『ビーキーパー』(24)に続いてデヴィッド・エアー監督とタッグを組んだ本作は、アメコミ作家としてマーベルやDCなどで活躍するチャック・ディクソンの小説「Levon's Trade」を原作にした、いつも通りの“ステイサム映画”。元海兵隊員の建設作業員である主人公が、組織に誘拐された雇い主の娘を助けるために奔走し、巨悪に立ち向かう姿が描かれる。
3262館で公開され、初日から3日間の興収は1551万ドルと、『ビーキーパー』のオープニング成績と比較すると微減。その『ビーキーパー』は北米累計興収6622万ドルだったが、海外興収が好調だったこともあり全世界興収は1億6200万ドルにのぼり、製作費の4000万ドルを回収している。今作も同額の製作費がかけられており、北米内での成績が同等となれば、黒字収支へのカギは海外興収となるだろう。
ちなみに批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は(『ビーキーパー』は意外と高い71%だったが)低く、50%止まり。一方で、観客からの好意的評価は88%と高め。ステイサム映画やリーアム・ニーソン映画のような“安心感の強い”娯楽アクション映画が受け入れられる傾向はコロナ禍以降ずっと続いているようで、興行的に抜けたものにならなくても、その需要は引き続き高いまま。今後も同系統のステイサム映画は安定的に供給されるはずだ。
ブラムハウス・プロダクションの新作となったサイコスリラー『The Woman in the Yard』と、A24製作のホラーコメディ『Death of a Unicorn』がそれぞれ4位と5位に初登場を果たし、気鋭ホラースタジオの直接対決が実現。興行収入的には前者がオープニング3日間で939万ドル、後者が同578万ドルとそれなりの差を付けたブラムハウスに軍配。とはいえ評価的にはどちらも低調であり、かろうじてコメディ要素のある『Death of a Unicorn』の方が観客の反応が良さそう。
そしてこの2本に次ぐ6位にランクインを果たしたのは、スタジオジブリの名作『もののけ姫』(97)の4Kレストア版。IMAX330館での公開ながら初日から3日間で388万ドルという好成績をあげ、1999年の北米初公開時の興収(237万ドル)をあっさりと突破。『君たちはどう生きるか』(23)のオスカー受賞から1年ほどが経過し、ここにきて改めて宮崎アニメの再評価が本格化しそうな勢いを備えている。
文/久保田 和馬