真面目な公務員から“クズ”に闇落ち!北村匠海が「求めていた作品」と明かした『悪い夏』の舞台裏

インタビュー

真面目な公務員から“クズ”に闇落ち!北村匠海が「求めていた作品」と明かした『悪い夏』の舞台裏

「『邦画を世界に届ける』という夢と向き合う人生を歩んでいきたい」

最近『世界征服やめた』で監督デビューを飾った北村匠海
最近『世界征服やめた』で監督デビューを飾った北村匠海撮影/興梠真穂

いずれにしても、『悪い夏』で北村匠海という俳優の“真価”を再認識させられることは間違いないが、時を同じくして、脚本も自ら書いた短編映画監督デビュー作『世界征服やめた』が2月7日に公開。これは偶然なのか?それとも、ネクストステージへとアクセルを踏み込むタイミングを2025年の幕開けに最初から設定していたのか?そのあたりの真意をストレートに聞いてみた。すると「僕はかなり計画的なタイプで。マネージャーさんと相談しながら計画性を持ってやっているんです」と前置きしたうえで話し始めた。

「『やりたい』とか『やりたくない』といった、自分の感情だけで作品を選択することはこれまでもあまりなかったですから。自分がやるべくタイミングではないということもあったし、この作品にとってこの役は僕で良いのか考えたりもします。逆に、『自分が役者としてどういう作品に必要とされているのか?』といった、マネージャーさんとの計画的な話と、奇跡的なタイミングで出会ってくれた作品をチョイスしていく感じなので、今回の『悪い夏』なんて即決。『ようこそ』って感じで嬉しかったですね。それに、撮影はまだ始まってなかったけれど、『あんぱん』(2025年前期のNHK連続テレビ小説第112作)への出演も決まるなか、最初にも話したように『改めて映画とちゃんと向き合いたい。あのころに戻りたい』という気持ちが沸々と湧き上がってきていたのも事実です」。

もう限界!どしゃぶりの雨のなかでたたずむ守
もう限界!どしゃぶりの雨のなかでたたずむ守[c]2025映画「悪い夏」製作委員会


北村自身が回想する「あのころ」とはいったいいつのことなのか?「子役のころからたくさんの映画に出させてもらった僕は、映画を作る時間がずっと好きだったし、19歳のころに出演した『君の膵臓を食べたい』で人生初のスタンディングオベーションや日本アカデミー賞の新人俳優賞をいただくすごい経験をさせてもらったから、映画に恩返しをしたいなという思いがずっとあって。恩を返すためには、こうなっていなきゃいけないね、とか、こういうチャレンジをしなきゃいけないねという考えのもと、この数年いろいろなプロセスを楽しく踏ませてもらい、映画を改めてしっかりやりたいというところにようやく立ち返ることができた。それがいまのタイミングだったんです。自分が『世界征服やめた』で監督をしたこともそこにちゃんと準じているんですけど、公開のタイミングが『悪い夏』と近くなったのは、ある意味、奇跡と言えば奇跡ですね(笑)」。

その言葉がどんどん強くなり、北村匠海の瞳がある一点を捉えるように揺らぎのないものになっていくのがわかった。「僕は、邦画が世界に届いてほしくて。僕がハリウッドで活躍するのではなく、日本映画で勝負したいという夢があるんです。いろいろな人たちと出会いながら、実直にそこに向かっていければいい。なにも急いでないです。僕が60歳になった時でもいいし、これからも、その夢と向き合う人生を歩んでいけたらいいなと思っているんです」。

取材・文/イソガイマサト

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