ダニエル・クレイグ主演のせつなさ染みる大人のラブストーリー『クィア/QUEER』日本版ポスター&予告編

ダニエル・クレイグ主演のせつなさ染みる大人のラブストーリー『クィア/QUEER』日本版ポスター&予告編

『君の名前で僕を呼んで』(17)のルカ・グァダニーノが監督し、「007」シリーズのダニエル・クレイグが主演を務める『クィア/QUEER』(5月9日公開)。本作より、日本版ポスタービジュアル、予告編映像が解禁となった。

1950年代、メキシコシティ。退屈な日々を酒や薬でごまかしていたアメリカ人駐在員のリーは、若く美しくミステリアスな青年ユージーンと出会う。一目で恋に落ちるリー。渇ききった心がユージーンを渇望し、ユージーンもそれに気まぐれに応えるが、求めれば求めるほど募るのは孤独ばかり。ある日、リーは一緒に人生を変える奇跡の体験をしようと、ユージーンを幻想的な南米への旅へと誘い出す。

『君の名前で僕を呼んで』でひと夏のせつない恋を描いたグァダニーノ監督が、今度は愛する相手と心身ともに一つになりたいと切望する男を描く。主人公の孤独な中年男リーを演じるのは、「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンドの鎧を脱ぎ捨てたクレイグ。ボンドとは全く異なる魅力で、自分を保てないほどに相手を求める圧倒的ピュアネスを演じ切る姿は、あまりに痛く愛おしく、観客の心を激しく搔き乱す。2024年の第81回ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミアを迎え、第96回ナショナル・ボード・オブ・レビューではクレイグが主演男優賞を受賞。第82回ゴールデングローブ賞でも、主演男優賞(ドラマ部門)でノミネートされるなど、多くの映画賞を賑わせている。

リーが恋するユージーン役には、映画ファンの間で今年最高の“発見”との呼び声も高いドリュー・スターキー。一見クールで感情をあらわにしない新世代に見えつつも、己のアイデンティティへの戸惑いや葛藤が垣間見える絶妙な表情で、ユージーンの心の中の繊細な揺らぎを観客に突き付ける。

原作はビート・ジェネレーションを代表する作家ウィリアム・S・バロウズが、謎多き人生を赤裸々に綴り、一度は出版を封印した自伝的小説。トレント・レズナー&アッティカス・ロスが手掛けた音楽と、ニルヴァーナ、プリンス、ニュー・オーダーらの挿入歌が聴覚を、ファッションの新しい軌道を創り上げたJW Andersonのジョナサン・アンダーソンによる衣装が視覚を魅了する。愛を確かめるために男が選んだ数奇な手段とは。究極の愛を探し求める姿が、あまりに無様で崇高で、どこまでも愛おしいラブストーリーだ。

このたび解禁された日本版ポスタービジュアルは、リーの足元にユージーンの足がそっと添えられている印象的なカットを全面に使用。予告編にも使用されている、「みっともないほど、君に触れたい」という痛切な思いが込められたセリフがキャッチコピーとして使われており、表情は見えなくとも狂おしいほどに恋をし、相手を求めるリーの切々とした感情が伝わってくる。

予告編では、「言葉なしで、君に触れたい」と、究極の愛を探し求める姿が映しだされている。「我々は、途方もない世界の、孤独なカケラだ」というリーの言葉から始まり、繁華街の夜道で通りすがりのユージーンと目が合い、一気に恋に落ちる出逢いの瞬間や、彼の気を引こうとおどけて挨拶するチャーミングな姿が紡がれていく。ユージーンは好奇心に輝く瞳で未知の世界については知りたがるが、自分のことはほとんど語らない。感情を露にすることもなく、限りなくミステリアスな存在のユージーンに、リーも否応なしに惹かれていく。

はたして、リーとユージーンに訪れる結末とは?新境地に挑んだダニエル・クレイグにも注目の『クィア/QUEER』の公開を楽しみにしてほしい。

文/平尾嘉浩

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