レオス・カラックス登壇の先行上映も決定!『ITʻS NOT ME イッツ・ノット・ミー』ポスタービジュアル、予告編
フランスの鬼才、レオス・カラックス監督による最新作『ITʻS NOT ME イッツ・ノット・ミー』(4月26日公開)。本作のポスタービジュアル、予告編が解禁となった。
カラックスが初めて自ら編集し、圧倒的なビジュアルセンスで記憶と思考をコラージュしたセルフポートレートとなる本作。2024年のカンヌ国際映画祭プレミア部門で初公開されると、ルモンド紙が「五つ星・傑作」と評したのにはじまり、「ゴダールの精神的後継者による心揺さぶるエッセイ」、「カラックスのとてつもない宇宙」と次々と高評価を獲得した。アメリカでは秋のニューヨーク映画祭で「多彩なヴィジュアルスタイルのシネエッセイ」、「2024年の最も颯爽とした映画」とこちらでも絶賛され、同映画祭に参加していたイザベル・ユペールも「100%レオス・カラックス映画。この映画にとても心を動かされた」と語っている。
本作は当初、パリの現代美術館ポンピドゥー・センターでカラックスの展覧会で企画され、「いま君はどこにいる?」というポンピドゥーからの問いへのアンサーとして制作された。カンヌ映画祭のディレクター、ティエリー・フレモーは「美学的なエッセイのようであり、まばゆく、とても素晴らしい作品」と評している。J=L・ゴダールへのオマージュを捧げ、42分のスペクタクルにはカラックスの全てが凝縮されている。
今回解禁となったポスタービジュアルは、波紋がたゆたうエメラルドグリーンの空間に重力を失ったかのような人物が浮遊している瞬間を切り取っている。そして鮮烈な赤でタイトルの「IT'S NOT ME イッツ・ノット・ミー」を大きくデザインし、「この世の美はまばたきを求めている」というキャッチコピーも添えられている。
予告編は、カウントダウンと共に「MERDE」のテロップが映し出されたかと思えば、ロック&ポップバンド、スパークスの「Without Using Hands」に乗せてポンヌフの橋で踊り回り続ける人、カラックスの『汚れた血』(86)からドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュが疾走しているシーンなどが登場する前衛的な内容に。
同じくカラックスの『ポーラX』(99)よりギヨーム・ドパルデューとカテリナ・ゴルベワの出演シーン、フリッツ・ラング監督が手掛けた怪奇映画『怪人マブゼ博士』(33)、文豪フョードル・ドストエフスキーに歌手で活動家のニーナ・シモン、マリリン・モンロー、アナキストのシャンソン歌手レオ・フェレと若きカラックスが2人でタバコを吸う写真、爆弾を投下する戦闘機や独裁者、ウクライナの女性活動家オクサナ・シャチコらへと画面が次々と瞬く間に切り替わっていく。
新たに撮り下ろされたベッドに横たわる子どもたちやカラックスの娘ナスチャがピアノを弾くシーンもあり、映画、写真、動画、様々なジャンル、フォーマットの映像を夢の断片のようにコラージュ。カラックスの記憶と思考が垣間見える予告編となっている。
さらに、本作の劇場公開に先駆け、東京の渋谷にある劇場、ユーロスペースでカラックスが登壇するQ&A付き先行上映が決定した。イベントは3月24日(月)19時15分の回と26日(水)17時30分の回の2回で実施(共に本編終了後)。カラックス自らが観客の質問に答える貴重な機会となっている。
レオス・カラックス監督による圧倒的ビジュアル世界に酔いしれる『ITʻS NOT ME イッツ・ノット・ミー』。唯一無二の創造力に触れてみてほしい。
文/平尾嘉浩