
ミルトン・シルス
Luis_Ramos
「鉄腕の男」「鉄挙」等と同じくミルトン・シルス主演の人情活劇。メアリー・ヒートン・ヴォースの物語に基づいてケイリー・ウィルソンが脚色し、「血に燃ゆる大海」「青春の浴して」等と同じくジョン・フランシス・ディロンが監督した。シルスの相手役は「栄冠は吾れに」「最後の栄冠」等出演のメアリー・アスターが勤め、新進のラリー・ケント及びアリス・ホワイトを始め、アーサー・ストーン、エミリー・フィッツローイ等が助演している。
スペインの植民地たるカンリー群島に漁獲を業とするラモス兄弟は仲良く暮らしていた。兄のルイスは人々から「海の猛虎」と言われるほど精悍であり、漁夫仲間を牛耳っていた。それに引きかえ、弟のカルロスは愛する女のためには肉親の兄を危険に陥れて顧みぬほど、狂おしい情熱の持ち主だった。弟に対しては親代わりであることを自覚して深くカルロスを慈しんでいるルイスも、新たに島の住民となった美しい乙女コンスエロを愛するようになると、カルロスが「彼女は兄さんを愛してなんかいない」と攻撃すると、思わず激して弟を打倒した。だがルイスは直ぐに自分の短慮を恥じ、かつ自分の義務を考えて、コンスエロをカルロスに譲ろうと決心した。そのルイスの深い心を知らぬコンスエロは誤解して、内心ルイスを愛しつつも彼を軽蔑した。そのころ都から来たお転婆娘のルルは、男らしいルイスに思いを懸けた。そして終に嵐の夜、甘言を以てカルロスを激浪逆巻く海に乗り出させた。このことを知ったルイスは弟の危急を救うべく猛然と立ち向かう。一方コンスエロはルイスを愛する心を抑え切れず、平和の漁村の乱入者たるルルを村から追い立てた。狂乱怒涛を乗り切ってルイスはカルロスを救った。その時カルロスは死に直面した恐れから、初めて我が非を悟った。誤解も去り相愛するルイスとコンスエロが神の前に永劫の契りを結ぶ時には、嵐も去った朝なぎの海上に陽光が一面に輝いた。
Luis_Ramos
Carlos_Ramos
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Sebastiano
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