映画ランキング - 全米映画
(2025/2/28~2025/3/2)
2025年3月3日
発表(毎週火曜更新)
2025年2月28日~2025年3月2日にアメリカで上映された映画の興行収入ランキングはこちら。『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』『Last Breath』『The Monkey』などがランクイン!(Box Office Essentials調べ)
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1
週末興収$15,000,000
累積興収$163,696,598
初代キャプテン・アメリカから盾を託された“新たなキャプテン・アメリカ”の戦いを描くアクション。スティーブ・ロジャースの意思を継ぐ、元ファルコンことサム・ウィルソン役のアンソニー・マッキーが続投。「イン···もっと見る
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NEW
Last Breath
公開未定-0週末興収$7,800,000
累積興収$7,800,000
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2
The Monkey
公開未定-0週末興収$6,376,000
累積興収$24,617,350
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3
週末興収$4,500,000
累積興収$31,359,000
イギリスの作家マイケル・ボンドによる児童文学を実写映画化した同名シリーズの第3作。生まれ故郷のペルーへ家族旅行に訪れたパディントンが、失踪したおばさんを捜すため、彼女が残した地図を頼りに冒険に出る。『···もっと見る
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4
Dog Man
公開未定-0週末興収$4,200,000
累積興収$84,060,000
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7
週末興収$1,900,000
累積興収$247,996,607
2019年に実写化した同名映画のはじまりの物語。シンバを守ったムファサ王と、ムファサの命を奪ったスカーの若き日を描く。『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが監督を務める。ムファサを『オールド』のアー···もっと見る
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5
Ne Zha 2
公開未定-0週末興収$1,765,595
累積興収$17,952,133
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6
Heart Eyes
公開未定-0週末興収$1,325,000
累積興収$28,887,000
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8
The Unbreakable Boy
公開未定-0週末興収$1,200,000
累積興収$4,532,000
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10
One of Them Days
公開未定-0週末興収$925,000
累積興収$47,471,000

先週末(2月28日から3月2日)の北米興収ランキングは、前週と前々週に引き続き『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(日本公開中)が首位をキープ。これで3週連続No. 1と快走しているように見えるが、昨年の『デッドプール&ウルヴァリン』(24)が同じように3週連続Vを飾った時点の累計興収と比較すると、まだ3分の1にも満たない数字。同作が超メガヒットだったことは間違いないが、それでもMCU作品の勢いも北米興行全体の勢いも現状ではかなり弱まっていることは否定できない。
週末3日間のランキング上位10作品の累計興収は4510万ドルで、全体の総興収は5438万ドル。例によってこれは、1年前の閑散期とほぼ同水準の数字であり、3週前のスーパーボウル週末と比較すると、前者は120万ドル下回り、後者はかろうじて10万ドルだけ上回る結果に。3月2日の夜には第97回アカデミー賞の授賞式が行われたとはいえ、その影響が興行にあらわれることは稀。シンプルに、観客が週末に観に行きたいと思うだけのタイトルがなかったと捉えるのが賢明だろう。
上位タイトルがパッとしないなかで、今回取り上げたいのは12位にランクインした日本作品。スタジオカラーとサンライズが初めてタッグを組み、4月から放送される「ガンダム」シリーズの最新テレビアニメの劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』(日本公開中)。日本ではすでに興収30億円を超えるヒットを記録している同作が、北米784館で上映をスタートさせ、初日から3日間で興収88万2471ドルを記録。
海外でも人気の高い「ガンダム」シリーズではあるが、これまでの北米上陸は映画祭やイベント上映などがほとんどで、こうしてそれなりの規模で公開されるのは今回が初めてとなる。上映館数と興収を見る限り、さほど大きなインパクトはないものの、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば現地の観客の90%から好意的評価を得るなかなかの反応。この『ジークアクス』の上映に合わせるように、同じGKids提供で庵野秀明監督の初期の傑作『ラブ&ポップ』(98)も1週前から限定上映されているのだが、同社が実写の劇映画を提供するのは極めて珍しいのでは。
さて、ここからは第97回アカデミー賞で作品賞や監督賞など5部門を席巻した『ANORA アノーラ』(日本公開中)の、授賞式後の平日の状況をお伝えしていこう。北米での初公開は昨年秋の10月。一時は1500館まで上映規模を広げていたが、年明けには100館ほどに減少。そこから賞レースの本格化とともにじわじわと劇場数を増やし、授賞式直前の週末は前週から倍増の808館で上映。週末3日間で興収26万ドルほどを記録し、22位にランクインしていた。
授賞式が明けた月曜日のデイリー興収は、週末3日間の成績の半分を稼ぎだす13万ドルほど。翌日の火曜日(多くの映画館で割引料金が適用される)には21万ドルと、ちょうど100日ぶりにデイリー興収20万ドル超えを達成。デイリー興収ランキングでは102日ぶりにトップ10入りを果たしており、次週末のランキングでもトップ10に返り咲く可能性が高そう。授賞式のスピーチでショーン・ベイカー監督が“映画館で映画を観ること”の重要性を説いていたが、その効果があらわれているのかもしれない。
ちなみに、「Variety」の報道によると『ANORA アノーラ』のオスカーに向けたマーケティングで使われた費用は1800万ドルほど。これは同じNEONが以前アカデミー賞を制した『パラサイト 半地下の家族』(19)の2000万ドルを下回る金額であり、『ANORA アノーラ』の制作費の3倍となる。国内興収は1600万ドルを突破し、全世界興収は4200万ドルに到達しているように額面上は黒字収支となりそうだが、もうひと伸びあれば望ましいだろう。
文/久保田 和馬
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