エログロだけじゃない!数々の名作(?)や才能を輩出してきたカルトムービー量産工場「トロマ」の豆知識
映像を使い回す財テクで低予算を実現
そんなトロマといえば、いかにして低予算で映画を作るかということを極めた“財テク”もお手のもの。その最たる例が、過去の作品でも使った映像を再度用いる、いわば“トロマ式リサイクル”だ。
例えば、日本のナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が半分を出資したことでそれまでより潤沢な予算が準備できた『カブキマン』では、1978年型フォード・サンダーバードが車に衝突し、スローモーションで360度回転し、地面に着地して爆発するというド派手なカークラッシュを撮影。
ゴージャスなシーンだけに、ほかの映画にもアレンジして流用。幸せそうな家族の車のボンネットに人間の生首が飛び込んできたことで事故へとつながる『トロメオ&ジュリエット』(96)をはじめ、『テラー・ファーマー』(99)、『悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル』(00)などへと受け継がれた。
ジェームズ・ガンをはじめ、いまをときめく才能を輩出!
先ほど名前を出した『トロメオ&ジュリエット』。この作品の監督をノンクレジットながら担当し、また脚本や製作総指揮、出演(カークラッシュする家族の父親役)としても名を連ねているのが、DCスタジオの代表を務めるなど、いまやビッグな存在となったジェームズ・ガンだ。
トロマのもとで映画のキャリアをスタートさせ、カウフマンとの共著「All I Need to Know About Filmmaking I Learned from the Toxic Avenger」も手掛けたガンは、羽ばたいたあともカウフマンへの恩を忘れておらず、『スリザー』(06)から『スーパーマン』(25)に至るまで多くの作品でカウフマンをカメオ出演させているのは有名な話。
このほかにも多くの才能がトロマから巣立っており、「ホステル」シリーズで知られるイーライ・ロス監督は学生時代にトロマの現場経験があり、『悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル』に端役で出演。またトロマの教材ビデオ『ロイド・カウフマン直伝!“Z級”映画の作り方』(09)にも本人として出演している。
「サウスパーク」で知られるトレイ・パーカーとマット・ストーンも、頭角を現すきっかけとなった自主映画『カンニバル!THE MUSICAL』(93)を1996年にトロマが配給したというつながりを持つ。彼らは応募も鑑賞も無料の自主制作映画の祭典としていまも続く「トロマダンス映画祭」の構想を提案するなど、カウフマンとの交流が深いことでも知られている。
あの『となりのトトロ』をアメリカで配給!
映画の製作に加え、配給も手掛けているトロマ。膨大なライブラリーのなかには有名俳優のキャリア初期作品も多く、カウフマンとハーツが監督した『初体験物語/ファースト・ターン・オン』(83)はヴィンセント・ドノフリオの映画デビュー作。アンクレジットだが、マリサ・トメイは『悪魔の毒々モンスター』に出演している。
ほかにもケビン・コスナーの映画デビュー作『マリブ・ビーチ物語』(81)やサミュエル・L・ジャクソンが出演した『サミュエル・L・ジャクソン in ブラック・ヴァンパイア』(90)など、数々の作品を世に送りだしてきた。アメリカでジブリ人気が高まる前に『となりのトトロ』(88)を配給し、劇場公開させたというから驚きだ。
50年以上にわたり、独自の路線を貫きながら数々の名作(?)や才能を輩出してきたトロマ・エンタテインメント。『悪魔の毒々モンスター 4Kレストア版』の11月20日(金)の公開など、改めて日本で盛り上がりを見せるいまこそ、個性豊かな作品たちをチェックしてみてほしい!
文/武藤龍太郎

