小金井公園の客車が聖地に!『ゴジラ-0.0』制作者と地域協力のもと実現した撮影秘話を独占取材
――撮影にあたって、車両に手は加えたのでしょうか?
佐藤「撮影するまでに何回も調査をして、この窓を開くようにしてほしいなどいろいろお願いはしましたね」
若松「この車両はJRさんの持ち物なんです。東京都との契約で貸与されて、今年で52年目になります。ですからJRのグループ会社から専門家が来て、撮影クルーの希望に合わせて『これはこうしたほうがいい』と修繕を考えてくれました」
山田「劇中でトンネルに入り窓を閉める描写があります。ロケハンの時に、どこに座ってどの窓を開けるかなど決めていたので、2か所の窓を開け閉めできるようにしたいと。あとは、車外からガラス越しに撮るところでガラスの一部曇っていたので、ほかのガラスと入れ替えていただくなど、対応してもらいました」
佐藤「ここは外すと戻せなくなるので、ほかの窓にしようとか。たしか長野や京都から専門の職人さんが来られました」
若松「この蒸気機関車は木製で経年の傷みが激しいので、なにかやるとボロボロボロって崩れてしまうんです。整備は東京都が行うんですが、直近で整備したのは20年くらい前。その時はもっとピカピカだったはずなんですが、これだけ経つと傷んでしまいますね」
山田「でも山崎組はボロボロが好きですから(笑)。当時は新しかったかもしれないけど、ちょっとくたびれていたほうが監督もセットデザイナー(上條安里)も喜ぶんです。塗装も部分的なレタッチが多かったですね。塗装が剥げた部分を塗ってもらうことも多かったと思います」
佐藤「こちらからお願いしたのは、より自然な形での修繕でした。建て付けも塗り直したり付け加えるのではなく、当時を再現する形ですね。塗料も職人さんに作ってもらったんです」
山田「そうですね。昔の国鉄カラーは色を作るのがすごく難しいと言ってました」
「撮影で使われた車両をいつでも見に行けるのもうれしいですね」(佐藤)
――修繕以外に、装飾として加えたものもあったのでしょうか?
山田「飾りでやったのは、いまあるスピーカーを変えました。いまのものに、スピーカーの側を被せただけですが。あとは路面路線図や広告を貼ったりしました。灰皿は交換しましたね」
若松「この車両は1974年までは走っていたので、灰皿はそのころのものなんです」
山田「灰皿には戦後すぐのものとは違う、新しい国鉄マークが入っていたので、それを変えたいということです」
――実際の撮影方法をお聞かせください。
山田「この客車を足場で囲いまして、黒い布で覆って外の光が入らないようにしました。完全にセットですね。劇中のライトは全部照明部が作り、窓外の抜けは合成用のグリーンを置きました。大人だけだったら夜間に撮ったかもしれませんが、子役(明子役の永谷咲笑)もいたので日中だけで撮影できるようにするためです。問題は車両の横に木が多く生えていて、枝が邪魔になったという」
若松「ちょうど切らなきゃいけないと思ってたので、枝は落としました(笑)」
佐藤「外にある施設なんですが、黒い布で囲ってなかをオープンセットみたいな形にして撮影しました。ただとにかく暑かったですね。特に去年はめちゃくちゃ気温が高かったので、巨大な室外機を用意しました」
――準備から撮影までどのくらいの期間だったのでしょうか?
佐藤「9月12日から19日の間に準備、設営から撤収までを行いました」
山田「だいたい8日間で、うち本番が1日です。芝居を撮る時は、カットによって座る場所を変えています。確か窓の開け閉めの問題で、外から車内を撮る時だけ逆側の座席で撮影しました」
「小金井公園は都民の貴重な財産です」(若松)
――映画の撮影をご覧になっていかがでしたか?
若松「撮影日は神木隆之介さんたちがお見えになられて、小金井公園にある客車がこんな大作映画で使われていることにとても感動いたしました。客車をずっと黒い布で覆っていたので、いろんな人に『あれは何をやっているんだ』と何度も聞かれ、口ごもってしまいましたが…(笑)」
佐藤「ロケとはいっても、ほとんどセットだったので問題もなかったですね。通常の公園であれば、一般の方のお邪魔にならないように気を配るんですが、幸いなことに車両が柵で囲われていたのも助かりました。普段、平日は入れないようになっていたので、スケジュールも調整しながらで、一般の方々にご迷惑をおかけすることなく進めることができたと思います」
山田「皆さんにご協力いただいたおかげで、非常に充実したロケでした。柵に囲われてるのが大きかったですね」
佐藤「セットだったら撮影したあとバラしてしまいますが、ずっと展示されているものなので。撮影で使われた車両が見たかったらいつでも行けるのもうれしいですね!普段は車両のなかには入れませんが、イベント時は車内にも入れるそうで、それもすごいと思います」
山田「実際の営業電車を借りると、おそらく何もいじれないので物を隠す程度になるんです。窓ガラスの入れ替えなんて絶対できないですよね」
佐藤「そういった要望が出てきた時に若松さんが全部ご対応して繋いでくださったので、本当に助かりました。車両に手を加えたのもプロの方たちなので、制作会社が勝手にいじって壊してしまったということもなく安心してお願いできました」
若松「小金井公園は都民の貴重な財産です。ルールはありますが、私たちとしても公園のポテンシャルを最大限に活かし、映画などを通して小金井公園の魅力を伝えられたらと思います。映画を観るのがいまから楽しみです(笑)」
佐藤「小金井公園以外にも多くの都立公園で撮影をさせていただいていますが、利用者が多い場所や、道が狭いエリア、住宅街が近くにある公園など、場所に合わせて様々な工夫や対策を立てたうえで、撮影をするように映像制作会社と協力し、公園の管理者と協議し、撮影の準備を進めています。
映画やドラマなどの映像作品に都立公園が露出することで、その公園の魅力をより多くの方に知っていただける機会になればと考えております。通い慣れている公園でも、映像作品を通して見る公園は、自分の目で直接見ている公園とは違う、新たな魅力に気づくきっかけにもなると私は思っております。
そして、撮影というものをより身近に感じていただき、『このまえ見たドラマであの公園出てたよね?』みたいな世間話のひとつとして公園についての話題が出てくれたらうれしいなと思います」
取材・文/神武団四郎

