「観る側の人生と地続きに繋がってくれる映画」『見上げてごらん』で初共演、森川葵&川上友里が芝居にのせた“実体験”とは?
「がっつり映画出演するのが初めてでした」(川上)
――ミーハー心が出て舞い上がったぽてとが、土屋に叱られるシーンも笑ってしまいました。
川上「あのシーンの土屋の気持ちはよくわかります。私だって、入ってきたばっかりの子が仕事せずにおしゃべりばかりしていたら怒りたくなっちゃいますから(笑)」
――潮田も、登場してまもなく吉住先生(武田鉄矢)にお弁当を渡すシーンでなぜかクスッとしてしまいました。日常会話が異常にフラットすぎておもしろかったです。
森川「本当ですか。自分ではなんの違和感もなく演じていました」
川上「武田さんとはなにかおしゃべりしました?」
森川「しました!気後れせずに自分から話しかけると、気さくにたくさんお話ししてくださって楽しかったです」
川上「そうなんだ。羨ましい…」
森川「羨ましいといえば、森田さんが笑うと一気に現場の空気が穏やかになるんです。笑うだけで雰囲気を変えちゃうのは流石だな、ちょっと羨ましいなと思っていました(笑)」
――今回はW監督体制でしたが、現場はどのように回されていたのでしょう。
川上「私は映画出演自体が多くないので初体験でしたが、よくあるものなのでしょうか?」
森川「いえ、私も初めてだと思います。自分が出ていないシーンでお2人を後ろから見ていたら、意見交換しつつ『どっちが(演者に)伝えに行く?』『僕はさっき行ったので、次はお願いします』みたいなやり取りをされていて、決まっていないんだと思いました(笑)」
川上「たまにはそっちが言ってよ、みたいな?(笑)」
森川「そこまでではないのですが、順番こにされているのかなと(笑)」
――森川さんと川上さんは今回が初共演ですね。
川上「私自身がここまでがっつり映画に出演するのが初めてでしたし、役柄的にも編集者の潮田さんのおかげでマンガを描けるので、とても頼りにしていました。森川さんとは撮影でラーメン屋さんに行ったり、風の強い高所に行ったり、楽しかったです」
森川「私は勝手に初めてじゃない感覚を抱いていました。川上さんは、本当に役者界において貴重な存在だと思います」
川上「またまた!」
森川「いえいえ、本当にそう思います。ストレートなお芝居って正直言って誰でもできるものですが、川上さんにしか出せないキャラクターの魅力があるからとても素敵です。川上さんだから出来上がったぽてとだと思います」
川上「それを言ったら森川さん(潮田)もそうですよ。例えば編集部のシーンで、遠目から見たらなにもせずに座っているように見えるのに、なんでこんなに見続けられるんだろうと思いました。終盤に潮田に起こる変化も絶妙でしたし、書店員に話しかけるシーンも本当に素敵でした」
森川「私自身、人と喋るのは好きなのでそのまま演じられました。反対に、阿部寛さん演じる編集長とのシーンでは、監督陣がしっくりくる部分を探して何度もテイクを重ねました。特にセリフがあるわけではないですが、ちょっとした動きや表情に気になるポイントが監督たちのなかにあったのだと思います」
「観ているうちにこれまでの人生であった様々な出来事を思い出しました」(森川)
――編集部でいうと、会議室に向かっていくシーンで「今日ペアルックみたいじゃない?」と同僚に話しかける部分が素晴らしかったです。さりげないけれど笑ってしまいました。
森川「あれは完全にアドリブです(笑)。たまたま隣になった方がペアルックみたいで、つい言ってしまいました」
川上「先ほど森川さんが試行錯誤されたシーンのお話をされていましたが、私はベランダの長ゼリフのシーンが不安でした。やり終えたあとも数日“本当にOK?”と悩んでしまって。でも完成した作品を観たら、そのシーンを含めてよかったです」
森川「なんとも言えない気持ちだけどすごくわかるし、おもしろい作品でした。“人生ってこんなもんだよね”とやさしく伝えてくれるといいますか。私自身、観ているうちにじわじわとこれまでの人生であった様々な出来事を思い出しました。別に励ましてもくれないし、背中を押してくれる作品でもないけど、観る側の人生と地続きに繋がってくれる映画だと思いました」
取材・文/SYO
