長谷川奈央×田村亮×芦川よしみ、映画『影を売る女』で考えた“本当の幸せ”「いまあるものを大切に」

長谷川奈央×田村亮×芦川よしみ、映画『影を売る女』で考えた“本当の幸せ”「いまあるものを大切に」

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「いま自分に与えられているものを、改めて大切にしていこう」(長谷川)

――芦川さんと田村さんは、役者業を長く続けていくうえで大事にしていることはありますか?

田村「僕はもともと、俳優を目指してはいなかったんです。中学、高校時代からオファーはあったらしいんだけれど、母が『高廣、そして正和も出ているし、これ以上もう息子を世間にさらしたくない』と断り続けていたらしいんです。その話は、あとから聞いたんだけどね。ある時、親父と『無法松の一生』を一緒にやった稲垣浩監督という巨匠が、101本記念の映画(『暴れ豪右衛門』)を撮るということで。三船敏郎さんの弟役として、僕にお声がかかったんです」

――それが先ほどお話されていた、映画デビュー当時の出来事なのですね。

田村「そのころの僕は商社マンになりたくて、経済や英語を一生懸命に勉強していて。だけど稲垣先生だから、むげには断れない(苦笑)。そんなふうにして、映画に出演しました。必死に勉強をして大学を卒業してから、俳優養成所に入りました。そこでアルバイト気分では、この世界でやってはいけないなと。みんなと一緒にスタートラインに立って『あ、え、い、う、え、お…』と発声練習から始めて、そうやって必死にやっていけば、周りから文句を言われることもないだろうと思ったんです。そういったなかでも、やっぱりお声をかけていただくのがうれしくて、ここまで来たのかなと感じています」

芦川「私も子役のころからこのお仕事を始めましたが、そのなかで一番気をつけているのは健康です。特に舞台は、スケジュールを組み直してもらうことのできないお仕事。歳を重ねていくごとにスタミナや集中力は落ちてきますし、だからこそ体を休めることが大切になります。地方で舞台公演があったり、撮影があったりしても、夜に飲みに行ったり遊びに行ったりはせず、ホテルで食事をしたりと、お芝居に集中できるように体力を温存するようにしています」

影をなくした夕子には不思議な幸運が次々と舞い込んでくる
影をなくした夕子には不思議な幸運が次々と舞い込んでくる[c]2026 IRH Press

――長谷川さんは、出演作を重ねるごとに俳優業の醍醐味についてさらに実感していることはありますか。

長谷川「今回のように大先輩の方々とご一緒させていただけると、“続けていてよかった”と実感します。一方でいまは、俳優というお仕事の難しさをより感じるようになっています。始めたころのほうが、怖いもの知らずだったかもしれません。続けていくと、お芝居は嘘をつけない、ごまかせないものなんだということに気づけるようになって。難しいけれど、そこが醍醐味なのかなと思っています。また今回のように主演を任せていただくと、“作品を守っていかなければ”という責任感も必要だなと感じています」

『影を売る女』が放つメッセージについて語り合った
『影を売る女』が放つメッセージについて語り合った

――本作を通して、どんなことを感じてもらえたらうれしいですか?

長谷川「今回は影を失ったことの代償が描かれていますが、これは別のものにも置き換えられると感じています。人生において、お金や自分の利益のためになにかを犠牲にしてしまうことって、結構あるなと思うんです。時間が経ってから気づくこともたくさんあるからこそ、なにかを失う前に、いまあるものに“ありがとう”と感謝できる人間でありたいなと思うようになりました。それは、映画を撮り終えてからずっと意識していることです。本作を観ていただく皆さんにも、いま自分に与えられているものを、改めて大切にしていこうと思ってもらえたらうれしいです。なにか大きなことが起きるわけではなくても、観終わったあとに心が少しすっきりして、身近なものを大切にしようと思える。そんな想いにさせてくれる映画だと思っています」

田村「幸せを、人からもらってはいけないということですね。幸せを自分で作りなさい、見つけなさい、探しなさい。頑張れ、頑張れ、頑張れ」


芦川「本当におっしゃるとおり、幸せは誰かからもらうものではないですね。人間って欲深いし、嫉妬心もあるし、悪いことを考えたりしてしまう時もあるけれど、本作を通して自分の過去を振り返り、“あの時、こんなことをしてしまったな”、“あれはいけないことだったな”と認識するだけでも、明日が変わってくるものだと思うんです。過去の自分を反省して、切り替えて、幸せの方に向かっていくことで、新たな道が開けるんじゃないか。そんなふうに感じさせてくれる映画だと思っています。また、夕子は失敗をしていろいろなことに気づいていきますよね。私が演じた大伴さんも劇中で言っていましたが、失敗することって、とても大事なことだと思うんです。失敗をしていないということは、挑戦をしていないということ。私は舞台で大失敗をしたことがあって、その時はとことん落ち込みました。でもいまになって思えば、それがのちの財産になっています」

取材・文/成田おり枝

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