長谷川奈央×田村亮×芦川よしみ、映画『影を売る女』で考えた“本当の幸せ”「いまあるものを大切に」
「もし、影を売れば億万長者になれるとしたら?」。そんな不思議な問いかけから始まる映画『影を売る女』(10月16日公開)は、主人公の河合夕子を通して “本当に大切なもの”を見つめる物語。夕子を演じた長谷川奈央は、単独主演のプレッシャーを乗り越え、等身大の焦りや不安、数奇な運命を辿るキャラクターの心の変化を鮮やかに演じた。そして夕子の転機に現れる重要なキャラクターを演じるのは、田村亮と芦川よしみ。長谷川は、2人の温かさに包まれながら撮影に臨んだという。本作を通して感じた“幸せ”。俳優として大切にしていることについて、3人が語り合った。
「皆さんと撮影できる喜びや感謝を忘れないように」(長谷川)
都内の広告代理店に勤める河合夕子(長谷川奈央)は、恋人もいなければ貯金もなく、出世も見込めない平凡な女性。未来が開けない現実に小さな焦りを感じつつも、お金持ちでイケメンな男性との結婚を夢見ながら日々を送っていた。もうすぐ28歳を迎えるというある日。怪しげな黒マントの男から「影を売ってくれたら、億万長者にしてあげます」と声をかけられた夕子。夕子は男の誘いを深く考えずに承諾し、自身の影を売ってしまう。すると不思議な幸運が次々と舞い込み始める。有頂天になっていく夕子は、果たして本当の幸福をつかむことができるのか?
――影を売る女・夕子を通して、本当の幸せとはなんなのかを問いかける本作。脚本を読んだ感想を教えてください。
長谷川奈央(以下、長谷川)「コメディ要素も多く、純粋に“次の展開が気になる!”と楽しみながら読み、これはおもしろい作品になるぞと感じました。後半では、夕子の価値観を揺るがす展開が描かれていたので、演じるうえでも苦しいな、胸が痛いなと。そうやって自分事として脚本を読んでいました。同時に私が演じる河合夕子は、最初から最後まで出ずっぱりの役なのだと驚いて。夕子はいろいろな表情を見せていく役どころでもあるので、“これは表情の勝負になる、大変だぞ”と感じました。たくさん表情の研究をして、撮影に臨みました」
――『美しき誘惑-現代の「画皮」-』(21)で市原綾真さんとダブル主演を果たした際には、「プレッシャーもあった」とお話されていました。単独主演となった今回は、いかがでしたか?
長谷川「前回はダブル主演だったので、気持ちを分け合えることが救いになっていました。市原さんも同じように緊張しながら頑張っているんだと思うことができたんですが、今回は単独主演ということで、前回より大きなプレッシャーを感じていました。実はクランクイン直前まで、恐怖に押しつぶされそうになって泣いたりしてしまっていたんです。でも赤羽(博)監督をはじめ、すばらしいスタッフの皆さん、キャストの皆さんと一緒に作品に取り組めるなんて、こんなに幸せなことはない。これから始まる1か月の撮影では、皆さんと撮影できる喜びや感謝を忘れないようにしようと、そちらの気持ちへ切り替えることで前を向くことができました」
――田村さんと芦川さんは、夕子の転機に現れる役柄を演じました。脚本を読んだ感想や、ぜひやってみたいと思われた理由を教えてください。
田村亮(以下、田村)「僕の俳優としてのキャリアは、映画からスタートしたんですね。右も左もわからないところから、映画の世界に入ったんです。だから映画の話をいただくと、すごくうれしくて。どんな役でもやりたいなと思うんです。映画デビューは19歳のころ。当時は、ワンカットを撮ったら、次のカットまでライティングを調整したり、カメラの位置を変えたりと、すごく時間がかかったものなんです。いまは撮り方もだいぶ変わりましたが、そうやってみんなで一緒につくり上げる映画の現場に行けることは、僕にとってとてもうれしいことです」
芦川よしみ(以下、芦川)「私も(長谷川)奈央と同じように、“おもしろい”と思いながら脚本を一気に読んでしまいました。主人公が不思議な扉を開けてしまった…この人はどうなるんだろう!って。読んでいるうちに、自分もその扉の向こうに入り込んでしまっているような気持ちになっていました。すごく先が楽しみになるお話でしたね。影を売ってから夕子の影が映らなくなる表現など、映像になったらどうなるんだろうという楽しみもありました」
