長谷川奈央×田村亮×芦川よしみ、映画『影を売る女』で考えた“本当の幸せ”「いまあるものを大切に」
「“幸せ”というのは人それぞれのものだなと思っています」(田村)
――現実に焦りを感じていた彼女は、謎の男から「影を売ってくれたら、億万長者にしてあげます」と持ちかけられ、その誘いに乗ってしまいます。夕子が抱える不安や焦り、そして望みに共感できる部分はありましたか?
長谷川「初めて脚本を読んだ時も“自分を見ているみたいだな”と感じるくらい、ものすごく共感しました。私自身、25歳になった瞬間、“アラサーになったんだ”と焦りを感じた経験があったんです。街で親子連れの方を見て“いいな”と思ったり、女性としての焦りみたいなものが急に出てきてしまって。それは自分でも不思議でした。また夕子は“こうなったらいいな…”と夢見がちなところのある女性ですが、そういうところも自分と似ていて。私自身、なかなか行動に移せなかったり、周りに流されてしまう時もあるので、“私も、影を売ってしまうかも”と夕子に共感すると同時に、彼女を通して自分がほしいもの、自分の幸せについて考える機会にもなりました」
芦川「私たちはライトに当たるお仕事なので、影がないとなったら大変(笑)!」
長谷川「たしかに!(笑)」
芦川「そういうことを抜きにして、一人の女性として考えてみるとどうでしょうか。謎の男は、“1年間、自己実現はなんでも叶えます”と語りかけてきますよね。私はもう年齢を重ねているので、いまは大きな夢や希望を持ったり、自己実現をしたいという想いも薄れていますが、20代のころだったら、謎の男の誘いに心を動かされてしまっていたかもしれません。でも影がないことでビクビクして生きなければいけなかったり、職場や友人にも隠し事をするのだと思うと、それが本当に自分の幸せなのかなと思ってしまいます。1年って結構、長いですし!初めはそそられるけれど、本当の幸せについてよく考えてみると、影を売ることは無理なのかなと思ったりしました」
――影を売って望みが叶うとなると、夕子はどんどん欲深くなっていきました。その姿を見ても、本当の幸せについて考えさせられます。
田村「僕にとって、主人公にとって、そしてあなたにとって、“幸せとはなんぞや”ということなんだよね。“幸せ”というのはとてもいい言葉だけれど、欲張りすぎると、とんでもないことになってしまうものでもある。そう考えると、“幸せ”というのは人それぞれのものだなと思っています」
「長谷川奈央は、“謙虚なカメレオン女優”」(芦川)
――夕子に大切な言葉を投げかける役を田村さんと芦川さんが演じると聞いた時、どのように感じましたか?
長谷川「興奮しましたし、大喜びしました!撮影が楽しみで仕方なかったですし、こんな光栄なことはありません。田村さんとは以前、『世界から希望が消えたなら。』という作品でご一緒して。お医者さんと看護師役として共演させていただいたんですが、本物のお医者さんにしか見えないんです!本当にすばらしくて、大尊敬する俳優さんです。今回も田村さんの存在感に引き込まれましたし、撮影の合間に佇んでいらっしゃるだけでもステキで。赤羽監督と2人で『カッコいいですね』とお話していたんですが、監督は『俺もあんなふうに歳を重ねたい』とおっしゃっていました。役として対峙した時にも、田村さんからやさしく、温かい笑顔を向けていただいたことで、心がほどけていくような感覚がありました。ありがたく、貴重な経験をさせていただきました」
田村「彼女は、お芝居に変な癖がついていないところがすごくいいんです。女優でも男優でも、俳優を始めてから2、3年経ってくると、いろいろな芝居を目にして、人の真似をしてしまうことがある。長谷川さんにはそういったところが感じられず、5年先、10年先も楽しみだなと思いました」
長谷川「うれしいです…。ありがとうございます!そして芦川さんとは、何本も同じ作品に出演させていただいているんですが、現場でお会いしたことがなかったんです」
芦川「そうなんです!同じ作品に何本も出ているのにね。初めて演技でご一緒することができて」
長谷川「やっと叶いました!それがうれしくて、うれしくて。お芝居もすばらしくて、感激しました」
芦川「私もすごくうれしかったです。楽しかったね」
長谷川「芦川さんはいらっしゃるだけで、パーッと周りを照らすような力を持っていらっしゃるんです。メイクをしている時からいつも楽しいお話をしてくださって、たくさん笑わせていただきました。お芝居でご一緒するとどうなんだろうと緊張していたんですが、いつもと変わらないフランクな芦川さんそのままでいてくださったので、本当にありがたかったです」
芦川「ずいぶん前ですが、本人にも『奈央ってすごく不思議だね。いろいろな役に見える』と言ったことがあるんです。個性がないわけではないのに、学校の先生、女医さん、OLさんなど、いろいろな役を演じる姿が見えてくる。それでいて、性格は謙虚。私は、“謙虚なカメレオン女優”だと思っています。自然とその役に気持ちを乗せることができるし、どんな役も似合う女優さんですよね。『美しき誘惑-現代の「画皮」-』で悪女を演じる時には、“奈央がこの役をやるの!?大丈夫かな”とドキドキしていたんです。でもそれも見事に演じられていて、『頑張ったね、偉かったね』と伝えました」
長谷川「芦川さんは、いつもそうやって励ましてくださるんです。最高の褒め言葉をいただいて、本当にありがとうございます!」
