SUPERCAR中村弘二を直撃!劇場アニメ『どこよりも遠い場所にいる君へ』劇伴制作で悩んで導き出した答え「“聖域”を教会の鐘やベルを連想する音で表現」
「楽曲が自分の手から離れて勝手に広まってくれるのが一番いい」
中村のキャリアを振り返るうえで、映画『ピンポン』(02)での「YUMEGIWA LAST BOY」「Strobolights」や、テレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」の「STORYWRITER」といったSUPERCAR時代の楽曲群と映像作品との強力なシナジーは外せない。リリースから時を経てもなお、新しい世代へ届き続けている現状を本人はどのように捉えているのだろうか。
「う~ん…。『そうなんですね』という感じで(笑)。僕自身は特になにも思わないというか、あまり意識していないですね。作られた楽曲が自分の手から離れて、勝手に動いて広まっていってくれる分にはそれが一番いいと思っています。聴いた人が『いいな』と思ってくれたならそれで十分ですし、作ったらそこまでです」。
SNSや各種プラットフォームを通して自作の音源を公開するなど、インディペンデントで開かれた音のアウトプットを継続している中村。メジャーなパッケージ流通だけに留まらないこうした活動は、彼自身がたどってきた音楽環境のなかで育まれたところがあるようだ。
「僕の周りには昔から自由に活動しているミュージシャンが多くて、そういった先人たちの姿勢を見て育ってきたというのがあります。だから、ただ自然にやっているだけなんです。僕が自由に音を出すことで、あとから続く若い世代や周りの人たちが『あ、こんなに自由にやっていいんだ』と思ってくれたらうれしいですね」。
続けて、CD時代からサブスクリプション、SNSによるダイレクトな音源配布など、音楽環境が多様に進化した近年の状況についても質問。「音楽を作ることやリリースすることが、誰にとってもすごく身近で手軽になりましたよね。誰もが気軽に作曲して世に出せる時代になったと思います。僕自身、いろんな方とのコラボレーションをしますが、相手がどんな人であってもモノづくりに向き合う姿勢や個性がみんなおもしろいです。これからも、ただ純粋に『おもしろいな』と思いながら音楽を作り続けていきたいです」。
「身構えず、映像と音を自然体で楽しんでもらえたら」
最後に、映画館で『どこよりも遠い場所にいる君へ』を鑑賞する観客や長年のファンへのメッセージを求めると、中村はシンプルにこう締めくくった。「メッセージとかも特にないんですよね(笑)。『こういうふうに聴いてほしい』とか『ここはこう観てほしい』というような押し付けはしたくないです。劇場で映像と音に触れる時は、身構えずに自然体でそのまま楽しんでもらえたら、それが一番だと思います」。
取材・文/平尾嘉浩
