SUPERCAR中村弘二を直撃!劇場アニメ『どこよりも遠い場所にいる君へ』劇伴制作で悩んで導き出した答え「“聖域”を教会の鐘やベルを連想する音で表現」

インタビュー

SUPERCAR中村弘二を直撃!劇場アニメ『どこよりも遠い場所にいる君へ』劇伴制作で悩んで導き出した答え「“聖域”を教会の鐘やベルを連想する音で表現」

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ロックバンド、SUPERCARとして革新的な楽曲を生みだし、バンド解散後もNYANTORA、iLL、LAMA、MUGAMICHILLなど様々なプロジェクトで日本の音楽シーンを牽引し続ける“ナカコー”こと中村弘二。YouTubeでのライブ配信、自作音源のストリーミング公開など実験的なアプローチでも音楽を追求してきた彼が、『どこよりも遠い場所にいる君へ』(公開中)で初めて長編アニメーション映画の劇伴を手掛けている。

原作は2025年に「カフネ」で第22回本屋大賞を受賞した、阿部暁子による青春小説。豊かな自然あふれる離島、采岐島(ときしま)を舞台に、1974年から現代にきたという少女、七緒(声:永瀬アンナ)と、心に傷を抱える高校生の和希(声:石橋陽彩)の出会いと交流、時を超えた絆が描かれる。ボーイ・ミーツ・ガールにファンタジックなSF要素も絡んだ本作の物語を、中村はどのように彩ろうとしたのか?言葉数自体は多くないものの、本人へのインタビューの端々から今回の劇伴制作が有意義なものであり、楽しんで取り組んでいたことが伝わってきた。


「こういう世界観や文化があるんだ、おもしろいな」

これまでテレビアニメ「エウレカセブンAO」やドラマ「潤一」などの音楽を手掛けてきた中村だが、長編アニメーション映画の劇伴を任されるのは今回が初となる。オファーを受けた当初の心境を、中村は「『楽しみだな』という気持ちでした」と振り返る。

「オファーをいただいた段階ではまだ台本もできていなかったので、まずは原作小説を読みました。ライト文芸というジャンルは身近なカルチャーではなかったのですが、『こういう世界観や文化があるんだな、おもしろいな』と。ただ、小説と映画の台本はまた別物なので、原作の空気感をなんとなく頭の隅に置きながら準備を進めていきました」。

阿部暁子による青春小説を劇場アニメ化した『どこよりも遠い場所にいる君へ』
阿部暁子による青春小説を劇場アニメ化した『どこよりも遠い場所にいる君へ』[c]阿部暁子/集英社・『どこよりも遠い場所にいる君へ』製作委員会

「特別な手応えを求めるよりは、一音一音を映像に合わせていく」

本作は美しい自然の風景と、繊細な登場人物たちの心情変化が印象的。音楽的なギミックに頼るのではなく、主人公たちの感情や情景をそのまま表現することを意識したという。「画と台本が届くまでは、とにかくドラマに寄り添うストレートな音楽を作ろうと考えていました。その後、制作に入る段階で絵コンテやビデオコンテ(絵コンテによる動画)をいただいて。実際に映像も見て自然描写の美しさや豊かさが確認できたので、『これはいけるな』と確信しました」。

豊かな自然あふれる離島、采岐島
豊かな自然あふれる離島、采岐島[c]阿部暁子/集英社・『どこよりも遠い場所にいる君へ』製作委員会

一方で、完成した映像のタイミングやカット割りに合わせて音楽を精密に作曲、制作する「フィルムスコアリング」も採用。この手法にあたって中村は、「映像そのものが楽譜のような存在だった」と説明する。

「特別な手応えを求めて作るというよりは、一音一音を映像に合わせていく感覚です。映像のカット割りやキャラクターの動作、表情の変化がそのまま楽曲の構成や動きになっていくような。画面のなかで起きているタイミングに合わせて音を置いていくので、即座の反応や構築の作業自体が非常にナチュラルでした」。

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