川口春奈「すべてが奇跡のよう」高杉真宙と『ママがもうこの世界にいなくても』公開前夜に想いを語る
映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』(10月2日公開)の公開前夜舞台挨拶が10月1日にユナイテッド・シネマ豊洲で行われ、川口春奈、高杉真宙、松本穂香、中島瑠菜、デビット伊東、小林聡美、山戸結希監督が出席した。
“涙が止まらない実話”として日本中の共感を呼んだ、遠藤和(のどか)さんが綴ったベストセラー手記をもとに映画化した本作。当時21歳でステージⅣの大腸がんを宣告され、24歳の若さで旅立った和さんが、夫の将一さんと共に過酷な運命に抗い、力強く生き抜いた姿を綴る。7年ぶりの映画主演となる川口が全身全霊で和さんを演じ、高杉が献身的に和さんを支え続けた将一さんを演じた。山戸監督は「こういう映画なんじゃないかという期待をいい意味で裏切っていけるような、和さんのオリジナルの生。固有の生を尊重して、それぞれの命が輝いているような作品を目指していました」と語り、「この世界にたった一人の和さんからのバトンが、この世界にたった一人のあなたへと贈られることを祈っています」と切望していた。
いよいよ明日、公開初日を迎える。川口は「素直にただただうれしくて、ありがたい気持ちでいっぱいです」としみじみ。「(撮影から)もう1年経ったのか、まだ1年しか経っていないのかという、言葉にするのは難しいくらいの気持ちです。撮影当時はたくさん悩んで、孤独になりながら、これで合っているのかと葛藤していた時期もありました。そういう日々を考えると、明日、皆さまの元に届き、皆さまのものになるんだなというのが、すごく不思議な感覚でいます」と率直な想いを吐露した。
さらに「計り知れない想い、その時の決断など、演じた私でもわかり得ない境地みたいなものもたくさんあるはずで。少しでも彼女の生き様や覚悟、葛藤や苦しみ、そして強さが、どうやったら少しでも届くんだろうという模索しかしてなかった」と撮影を振り返りつつ、「そういう時間に自分自身も勇気づけられていた」と告白。「こういう一人の女性がいたこと。家族がいたことをシンプルに知っていただいて、たくさんの方に届いてくれたらうれしなと思います。全キャスト、スタッフの皆さんが、同じ熱量で昨年の夏に戦って、一つの作品をつくりました」と作品に込めた想いを語った。
「今回の作品は、生半可な覚悟ではなし得なかったと思っている」と胸の内を明かした高杉は、「それは川口さん自身から、どのシーンでも、どんな表情でも感じました。そんな川口さんが演じる和さんだからこそ、僕自身も、そしてキャストの皆さんも、一緒にステキな作品をつくりあげようと思いながら、前に進めたのかなと思います。川口さんあってこそだと思っています」と最敬礼。「台本にはもちろん多くの情報はありますが、それだけではない感情の流れがたくさんあった」と現場で生まれるものを体感しながら、撮影に臨んでいたという。
和さんの妹で、櫛引家の三姉妹の末っ子・結花役を演じた中島と、家族の大黒柱として皆を支える父・慎吾役のデビットが、みんなで心を通わせながら過ごした撮影の日々を思い出して涙するなど、それぞれが特別な時間を共有してきたことが伝わるイベントとなった。ステージには、キャスト、監督にはサプライズで、和さんの夫である、遠藤将一さんから手紙が届く場面もあった。
MCが代読した手紙には、「和の独特の、本当にわがままな、でも僕にとってはかわいくもある態度をスクリーンで蘇らせてくれた川口春奈さん、松本さん、中島さんの3人の空気感は、びっくりするほど櫛引姉妹でした」という驚きの声に始まり、「和のご両親を演じてくださった小林さん、デビッドさんや周囲の皆さん、登場人物に嫌な人が1人も出てこない映画はちょっと珍しい気がします。ただ僕も櫛引家のみんなも誰一人完璧な人間ではないので、これからの人生でつまずくことや、嫌なヤツになる場面もあるはずです。そんな時は裏切られたと怒らずに、許してください」と素直な心情が綴られていた。加えて「高杉真宙さん。あまりにもステキなので、映画を観た人からリアルな遠藤将一ががっかりされてしまうんじゃないかと、ちょっと怖くもありつつ。それでも和の病気がわかった時、病院のシーンだけは、カッコいい高杉さんに目を奪われず、あの時の僕らが見えました」と当時が蘇ってきたという。
続けて手紙において将一さんは、「出会ってからも、がんと分かってからの3年間も、僕らは精一杯生きました。後悔はしていません。映画をご覧くださった皆さまに願うのは、一つだけです。親でも子でも、恋人でも友だちでも、大切な人との時間。一日一日は、いつまでも当たり前が約束されているものじゃありません。だからこそ、自分の気持ちに正直に過ごしてもらえたら。僕はそのことを、和に教えてもらいました。この作品が、どこかの誰かの、いま生きている実感をつかむきっかけになってもらえればうれしいです」と希望。「『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』に携わったすべての方々に、心から感謝します」というお礼の言葉で締めくくられていた。
川口は「将一さんもですし、ご家族も、ここまで来るまでに本当にたくさんのことがあって、たくさんの想いがあって、私たちに映画を託してくださって。本当に感謝ですし、とにかくたくさんの方に届いてほしいという気持ちでいっぱいです」と改めて、その想いを噛みしめるように語った。高杉は「もちろん僕らは演じるお仕事なので、台本に描いてあることを想像するしかない。でもその想像のなかで僕らが必死に生きた想いが、将一さんたちと心のなかで通じ合っていたのかなと思うと、僕らが演じることの意味があったのかなと思います」と感慨をにじませていた。
本作からたくさんの大切な想いを受け取ったという、川口と高杉。最後に高杉は、「年齢を重ねていくにつれて、どんなことにも出会いと別れがあるんだなと感じる瞬間があります。だからこそ尊く、幸せな世界なのかなと思いつつ、力強く生きていくためにはいろいろなものが必要だなと思っています。観ていただいた方に、あなたがこの世界にいることはすばらしいことだという想いを、届けたいと思います」と真摯な言葉を口にした。
川口は「この作品に出会えたこと、山戸監督に出会えたこと。ご家族、将一さん、和さんに出会えたこと。この作品に携われたこと。すべてが奇跡のようだと思っています。本当に感謝しています。より多くの方に、和さんの人生が届いてほしい。きっとそれが誰かの希望になると、心から思っています」と温かなメッセージを送り、大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田おり枝
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