リーアム・ニーソンが“特別なスキル”がない男に惹かれた理由は?『ハードボイルド』で見せたアクション俳優としての新境地

リーアム・ニーソンが“特別なスキル”がない男に惹かれた理由は?『ハードボイルド』で見せたアクション俳優としての新境地

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本作ではCTE(慢性外傷性脳症)による記憶障害も重要なテーマになっているが、役作りについて聞くと「私は若い頃にアマチュアボクシングをやっていましたし、この30年ほどの間にも、CTEと闘っているボクサーやアイスホッケー選手たちと知り合う機会が何度かありました。当時は『パンチドランクだ』とか『少しパンチをもらい過ぎたんだろう』と言われる程度でした。でもいまではCTEという病気について少しずつ理解が進んできています」と述懐。

男は、孫息子のドレにボクシングの手ほどきをする
男は、孫息子のドレにボクシングの手ほどきをする

さらに「彼らと話をすると、とても魅力的で温かい人たちなんです。でも同時に、記憶や思考が少しずつ失われていく苦しさも感じられます。そうした人たちの姿が、この役を演じるうえで大きな助けになりました。本作で演じる男は暴力を振るってきた男だけれど、それだけの人間じゃなく、病と向き合いながら、人生をやり直そうともがいています。その姿をできるだけ誠実に演じたいと思いました」と、真摯なアプローチで役を作り上げたことも明かした。

役柄にとても真摯にアプローチしたというリーアム・ニーソン
役柄にとても真摯にアプローチしたというリーアム・ニーソン[c] 2026 TG Movie LLC. All Rights Reserved.

2度目のタッグとなったモランド監督については、「ハンスとは『スノー・ロワイヤル』で初めて一緒に仕事をしたけれど、本当に気が合うんです。とても落ち着いていて、現場でも決して大声を出したりしない。でも、自分がなにを求めているのかは、はっきりわかっています。役について難しい理屈を延々と語るようなタイプではなく、お互いに『このシーンでは、なにを伝えたいか』が自然と共有できます。だから俳優としても、とてもやりやすいんです。脚本を読んだ時にも、『これは、いまの自分にぴったりの作品だ』と感じて、すぐに出演を決めました」と、監督との深い信頼関係や、役との親和性についても語った。

男が30年使える犯罪組織のボス、チャーリー役にロン・パールマン
男が30年使える犯罪組織のボス、チャーリー役にロン・パールマン[c] 2026 TG Movie LLC. All Rights Reserved.

また、疎遠になっていた娘デイジー役のフランキー・ショウ、犯罪組織のボス役のロン・パールマン、バーで出会い、心を通わせていく娼婦役のヨロンダ・ロスと共演した感想についても聞いた。 「ショウはドラマ『SMILF』(原題)を観て以来のファンです。俳優としてすばらしいだけじゃなく、脚本家としても監督としても、本当に才能があります。実は彼女に『君に少し恋をしてしまったよ』なんて冗談も言ったくらいです(笑)。パールマンとは今回が初共演ですが、本当にすばらしかったです。撮影の合間は笑い合っていても、カメラが回った瞬間に空気が変わります。その集中力と誠実さは見事でした。ロスとは20年以上の付き合いになるけど、今回ようやく一緒に仕事ができなした。彼女もまた、とても信頼できる俳優です」。

さらにニーソンは「優れた俳優と芝居をすると、自分で無理に感情を探しにいかなくても、相手が自然に引き出してくれます。それは、俳優にとって本当に大きな贈り物」と、共演者たちを称えた。

74歳にして果敢にいろいろな役にトライしてきたリーアム・ニーソン
74歳にして果敢にいろいろな役にトライしてきたリーアム・ニーソン[c] 2026 TG Movie LLC. All Rights Reserved.

70代を迎えたいまも、本作のように深みのある役柄が続くニーソン。
「本当に幸運だと思います。もちろん、いまでもアクション映画の脚本は届きますし、なかには誰かを殴る役もあります(笑)。でも、それ以上に嬉しいのは、時々こういうすばらしい脚本に出会えることなんです。この年齢になってなお、自分が演じたいと思える役が届いてきて。それは俳優として本当にありがたいことだと思っています」と、感謝の言葉を口にする。

『ハードボイルド』は10月9日(金)より公開
『ハードボイルド』は10月9日(金)より公開[c] 2026 TG Movie LLC. All Rights Reserved.

近年は、アクション映画からの引退を示唆しているニーソンだが、本作はその雄姿をスクリーンで目に焼きつけられる貴重な1本となることは間違いない。年齢を重ね、ますます味わい深い演技で観る者を魅了していくニーソンの姿をずっと観続けていきたい。


文/山崎伸子

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