50年越しの“答え合わせ”!?UFO神話に向き合ってきたスピルバーグが『ディスクロージャー・デイ』で問いかけていること
米国大統領は宇宙人と密約を交わした?
1965年にはペンシルベニア州のケックスバーグ近くの森に、火の玉が落下する騒ぎが起きた。森に落ちたのはどんぐり型の金属製の物体であり、すぐに州警察や軍によって森は封鎖されている。目撃者によると、防護服を着た作業員たちによって金属製の物体はトラックで運びだされたという。
こうしたUFO事件との関連性が言われているのが、ネバダ州にある「エリア51」だ。米空軍の試験訓練場のある施設を指しているが、長年の間政府は「エリア51」の存在を認めようとしなかった。そのため「エリア51」には各地で起きたUFO事件で回収された残骸が運び込まれ、新しい兵器の研究や開発に転用されているのではないかと憶測が流れていた。
情報公開請求を受け、2013年になって米国政府は「エリア51」の存在をようやく認めるに至った。スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(08)では、「エリア51」が序盤の舞台となっている。
また、米国大統領は代々にわたって、UFOや宇宙人に関する極秘ファイルを就任時に受け継いでいるのではないかという説もある。一部では、先述したトルーマン大統領は宇宙人と交渉し、彼らの最新のテクノロジーを受け取る代わりに、研究目的での地球人の拉致を黙認したという都市伝説も語られている。
極秘ファイルの内容が気になるところだ。
宇宙人の遺体を目撃したハリウッドの名優
本作の主人公であるサイバーセキュリティのエキスパート、ダニエル(ジョシュ・オコナー)は宇宙人に関する極秘情報を開示しようとする。彼が持ちだした極秘映像には、リチャード・ニクソン大統領と思われる人物の横に白いスーツを着た男性が映っている。おそらく、この白いスーツの男性はジャッキー・グリーソンだろう。
俳優として映画『ハスラー』(61)などで名演技を披露しているグリーソンは、米国ではミュージシャン、またバラエティ番組のホストとして著名な存在だった。ニクソン大統領と親しかったとされる彼が、ニクソンに連れられ米軍の秘密施設で“保管されていた宇宙人の遺体を見た”という都市伝説が語り継がれている。ダニエルが持ちだした極秘映像は、本作の大きな見どころだ。
ダニエルが立つ畑に幾何学模様のデザインが浮かび上がるが、これは「ミステリーサークル」と呼ばれるもの。1980年代にいくつもの「ミステリーサークル」が英国に出現し、「宇宙人の仕業か」と世界的なブームとなった。90年代になって英国の農業従事者2人組が「いたずらで作った」と明かしたことでブームは沈静化したが、英国以外でも目撃例が報告されており、単なる模倣犯によるいたずらとは断定できないものもある。
もう1人の主人公となる気象キャスターのマーガレット(エミリー・ブラント)に一羽の小鳥が近づくことから物語は始まるが、これも都市伝説界隈では有名なもの。宇宙人は人間が警戒しないよう、フクロウなどの野鳥や野生動物に擬態して接触を図ることがあると言われている。
スピルバーグ監督は『未知との遭遇』や『E.T.』(82)で描いた「来たるべき日」の到来を、監督デビュー作となった『激突!』(71)や実話ベースの『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)などで磨き上げた最上級のサスペンス演出で物語ってみせている。
宇宙人の存在が既存の宗教や社会に影響を与える可能性に言及している点も興味深い。
様々な情報やフェイクニュースが飛び交う現代社会において、真実とはなにか、なにを信じるべきかを、ハリウッドの巨匠は問いかけているのではないだろうか。
文/長野辰次
