極悪ブルータルなゴア描写のつるべ打ち!「死霊のはらわた」シリーズ最新作『Evil Dead Burn』をレビュー

極悪ブルータルなゴア描写のつるべ打ち!「死霊のはらわた」シリーズ最新作『Evil Dead Burn』をレビュー

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サム・ライミ監督の「死霊のはらわた」トリロジー以降、通算3本目となる「死霊のはらわた」シリーズ最新作『Evil Dead Burn(原題)』。今年7月に北米を始め世界各国で封切られ、世界興収7200万ドルのスマッシュヒットを記録した。監督を務めたのは本国フランスでヒットを記録したホラー映画『スパイダー/増殖』(23)のセバスチャン・ヴァニセック。これがリブート版以降ではシリーズ最高傑作といえる、バイオレントでブルータルな超極悪痛快ホラーに仕上がっていた。

【写真を見る】極悪ブルータルなゴア描写が光る、「死霊のはらわた」最新作『Evil Dead Burn』
【写真を見る】極悪ブルータルなゴア描写が光る、「死霊のはらわた」最新作『Evil Dead Burn』[c]Warner Bros. / courtesy Everett Collection

ストーリーは次のとおり。ジョセフ・プライスはプライス家の別荘で、祖父が晩年に“死者の書(ネクロノミコン)”の研究をしていたことを知り、生ける人間に取り憑く悪魔“デッドバイト”と、邪悪な彼らを地獄へと送り返す短剣の存在を知る。数か月後、ジョセフの弟ウィルが妻アリスと口論をし、田舎道を車で爆走中に、“デッドバイト”に憑依された女性ジェシカと遭遇。ウィルは事故を起こし車は爆発炎上(まさにタイトルの“burn”)、ウィルは焼死したかと思われ葬儀が執り行われるが、彼は“デッドバイト”としてよみがえる。

湖で釣りをしていた若者たちが、腐敗した死体の頭部を釣り上げてしまうところから物語が始まる
湖で釣りをしていた若者たちが、腐敗した死体の頭部を釣り上げてしまうところから物語が始まる[c]Warner Bros. / courtesy Everett Collection

オープニングの掴みからして最高である。湖で釣りをしている白人と黒人の若者2人が、「大物が釣れた!やったぜ!」と喜んだのも束の間、獲物は魚ではなく死体の頭部(しかも死後かなり時間が経過し腐敗している)。その直後、釣り糸と釣り針が勝手に動き出し、男の顔に絡みつく。あまりにも拷問チックな痛々しい描写は『ヘル・レイザー』(87)を彷彿。溺れる彼を仲間が助けようとするが、顔は判別がつかないほどボコボコで、下半身は切断されている(『バタリアン』のオバンバ状態)。そこへ情緒的に雨が降り出し、邪悪な瞳を持つ“デッドバイト”の女が姿を現す。この凶悪な冒頭から、このホラーの本気度がひしひしと伝わってきて、思わず姿勢を正した。

『死霊のはらわた』(81)はサム・ライミ監督の長編デビュー作
『死霊のはらわた』(81)はサム・ライミ監督の長編デビュー作[c]Everett Collection

サム・ライミが監督した『死霊のはらわた』(81)は、終始ハイテンションでスラップスティックなノリのパワフルで血みどろのスプラッターホラーの金字塔として名高いが、このシリーズ最新作には、そのオリジナルの魂がしっかりと受け継がれている。一家全員が次々と地獄を見るための前提として家族の物語が語られたり、切ない夫婦の関係が描かれたり、避けられないドラマパートは正直多少ダレるが(キャストが無名で馴染みがないこともあり)、コンスタントに飛び出すゴア描写はいずれも精緻で丁寧。車に撥ねられた“デッドバイト”の首が徐々にもげ、ぶちぶちとイヤな音を立てながら断面部も見せつつ、勢いよく転がり落ちるシーンも赤い照明で幻想的に創り上げられており、まるでマリオ・バーヴァの映画のようである。

逃げ場のないアパート内で繁殖、凶暴化した毒グモの恐怖を描く『スパイダー/増殖』
逃げ場のないアパート内で繁殖、凶暴化した毒グモの恐怖を描く『スパイダー/増殖』[c]Everett Collection

パワフルでありつつ、クレイジー度では本家『死霊のはらわた』を凌駕する勢いで、終盤のウルトラバイオレンスとゴア描写のつるべ打ちは完全にクレイジーの極地で感服した。監督の前作『スパイダー/増殖』ではあまり感じられなかったが、今作では『ハイテンション』(03)や『屋敷女』(07)といったフレンチホラーを彷彿とさせるあたり、やはりフランス人の血が流れているな、と感じ入った次第(繊細な美へのこだわりも要所で込められている)。

一軒家を舞台に家庭に常備されている日用品からそうでないものまで、あらゆる物が次々に武器として使用され、イマジネーションを駆使した様々なクリエイティヴな死の形を生み出す。足の不自由なお婆さんが女の“デッドバイト”と対峙し、入れ歯を奪われ、“デッドバイト”がそれをなめてから口に戻す…というサム・ライミとは異なる種類のユーモアも披露。フランスのジャンル映画でよく見られる顔面破壊シーンも、派手だが安っぽくなく執拗で重厚だ。

サム・ライミは本作にプロデューサーとして参加
サム・ライミは本作にプロデューサーとして参加[c]Warner Bros. / courtesy Everett Collection

オリジナルへの敬意を表し、ちゃんとチェーンソーも飛び出す。クライマックスでは『ターミネーター』(84)のようなシーンも...。やりすぎなもほどオーバー・ザ・トップな「死霊のはらわた」最新作。死は終わりではなく新たな始まりにすぎないのだ。ここまで一気にハードルが上がってしまうと、次回作『Evil Dead Wrath(原題)』(28年北米公開予定)の監督フランシス・ガルッピ(『ユマカウンティの行き止まり』)は本当に大変だ。

本国公開時の劇場ポスター
本国公開時の劇場ポスター[c]Warner Bros. / courtesy Everett Collection

主演はスイス人女優のスエイラ・ヤクーブ(『CLIMAX クライマックス』、『デューン 砂の惑星PART2』)。劇中フランス語のセリフを話すシーンもあり。撮影はニュージーランドで敢行。製作費は前作超えの2000万ドルだ。『死霊のはらわた ライジング』(23)は日本劇場未公開だったが、今作はなんとか大スクリーンで観たいものだ!


文/小林真里

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