信念で走り続ける…「踊る大捜査線」の主人公、青島俊作の人物像を名台詞からひも解く
「どうして現場に血が流れるんだ」大切な仲間のために怒れる男
青島の持つ熱さが最も強く表れるのが、仲間や誰かのために怒る場面だろう。同僚の恩田すみれ(深津絵里)が銃撃され負傷した際に飛びだした「室井さん聞こえるか。仲間が撃たれた。どうして現場に血が流れるんだ」という言葉には、事件への怒りだけでなく、上層部の判断によって現場にいる人間が危険にさらされたことへの憤りがにじんでいる。自分が危険な目に遭うことを恐れずに現場へ向かう青島だが、仲間や目の前にいる人が傷つけられた時は悲しみ、誰よりも怒りを露わにする。
和久平八郎(いかりや長介)やすみれ、真下正義(ユースケ・サンタマリア)ら、苦楽を共にしてきたかけがえのない仲間たちとの間に積み重ねてきた信頼があるからこそ、彼らのために怒り、動くことができる。青島にとって「守るべきもの」は、抽象的な正義ではなく、目の前にいる人なのかもしれない。
「正義なんてのは胸に秘めておくぐらいがいいんだ」自分の信じる正義を行動で示す
そんな青島の姿を象徴するのが、「正義なんてのは胸に秘めておくぐらいがいいんだ」という言葉だ。この言葉の背景には、若き日の青島が古参刑事の和久から受けた教えがある。シリーズを通して青島は、事件だけではなく警察という大きな組織の壁や、立場の違いによる対立、現場と上層部の温度差など、様々な問題に直面してきた。数多くの困難に立ち向かうなかで、青島は自分にとっての正しさと向き合っていく。
若き日の青島が和久から教えられた「正義は胸に秘めておく」という考え。それがシリーズを通して青島のなかに根付き、やがて『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(12)で、正義を振りかざす犯人に向かって今度は青島自身の言葉として語られる。現場に立つこと。信頼できる人間を信じること。仲間を守ること。そして、困っている人を放っておかないこと。一見するとバラバラに見える青島の言動も、こうして並べてみると、すべて一つの軸でつながっているように思う。
信念を胸に、青島俊作は走り続ける
彼の言葉を改めて振り返ると、その熱さの根底にあるのは、人への信頼や、目の前の誰かを思う気持ちだったことがわかる。
組織に反発しながらも、信頼できる人間の言葉には耳を傾ける。自分のためではなく、仲間や誰かのために怒る。そして、自分の正義を声高に掲げるのではなく、行動で示す。そうした青島の姿は、時代が変わっても色あせない。「踊る大捜査線」が長く愛されてきた背景には、そんな青島俊作という男の魅力があるのだろう。
そして、シリーズ最新作となる『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』で再び青島俊作がスクリーンに!変わらない「信念」を胸に走る、青島の活躍をぜひ劇場で見届けよう。
文/サンクレイオ翼
