『ハート・オブ・ビースト』監督が語る、ブラッド・ピットの魂を揺さぶる役作り「“俳優のなかの俳優”という形容詞がぴったり」

『ハート・オブ・ビースト』監督が語る、ブラッド・ピットの魂を揺さぶる役作り「“俳優のなかの俳優”という形容詞がぴったり」

リンクをコピー

「もう一本、ブラッドとなにか作りたい。大好きな日本で、警察を描いたドラマはどう?」

本作のもう一つの主役が、ジェームズとオーディンの旅の背景となるアラスカの大自然。実際のロケはニュージーランドの南島で行われたが、映画を観れば、いかに撮影が過酷であったかも察せられる。エアー監督にとって最も苦労したのは、どのシーンだったのか。

「氷河の近くの山の尾根を、ジェームズとオーディンが歩くシーンですね。そこまでの道路もありませんし、電源もないので、スタッフ全員を連れて行くのは不可能。15人ほどに絞り、機材と一緒に数回に分けてヘリコプターで移動しました。ブラッドもヘリで向かってもらい、現場上空から『頑張って演じて』と励まし、尾根に下ろすしかありませんでした。ブラッドは肉体的にも自分を極限に追い込んでおり、文字どおり身を削る覚悟で、撮影に挑んでくれました。多くの現場を経験した私にとっても、あれほど過酷な一日は初めてだったかもしれません」。

共に生きて還るため、歩き続ける姿が印象的
共に生きて還るため、歩き続ける姿が印象的[c]2026 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

海軍での経験をもつエアー監督なので、本作のジェームズのように元軍人のキャラクターを描くのは得意中の得意。作風もハードなアクション映画、骨太なヒューマンドラマやサスペンスが中心だった。しかしこの『ハート・オブ・ビースト』は、人間と犬の絆がメインテーマということで、エアー監督作のなかでも最もエモーショナルな展開になっている。多くの監督作で脚本にも参加してきた彼が、本作では他者の脚本を映画化したからだろうか。

「キャメロン・アレクサンダーが書き上げた脚本は、美しい詩のように魂を揺さぶる旅路の物語でした。ですから今回は、私の軍隊での経験を脚本に反映させることはなかったですね。たしかに過去の監督作と印象は異なるでしょう。でも本作には、私が一貫して追求してきた2つのテーマが備わっています。一つは、過去のしがらみに苦しみ、自分の内面と向き合う主人公。そしてもう一つは、友情。今回の“ふたり”は私の監督作のなかでも、最高の親友なんです」。

ジェームズとオーディンは主従関係ではなく、親友として描かれる
ジェームズとオーディンは主従関係ではなく、親友として描かれる[c]2026 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

タイトルの『ハート・オブ・ビースト』は、今回の舞台であるアラスカの奥地=魔の領域の比喩だが、直訳すれば「野獣の心臓部」となる。そのタイトルにかけて、エアー監督にとって「フィルムメーカーの心臓部」、その強さについて聞いてみた。

「心臓はかなり強いと思います(笑)。優れた監督に求められるのは、忍耐力とスタミナ。監督の仕事は、膨大な時間をかけた準備、終わりの見えない打ち合わせ、予算の調整、そしてポストプロダクションでの仕上げ…と、99%が“縁の下の力持ち”的なものです。常に変更を加え、作品を進化させるうえで、決して諦めないことが重要で、そんな精神的忍耐は、本作のジェームズに通じていると思いませんか?」。

今回も忍耐力とスタミナをフル稼働したことで、次回作までしばらく休養をとるというエアー監督だが、ブラッド・ピットとは、いつかまた組みたいと強調する。

『フューリー』撮影時のエアー監督とブラッド・ピット
『フューリー』撮影時のエアー監督とブラッド・ピット[c]EVERETT/AFLO

「映画は3部作というのが美しいですよね?だからブラッドとは、もう一本、なにか作りたいんです。『フューリー』が12年前でしたから、今度は12年後に再会するかもしれません。あと今後の夢として、大好きな日本で映画を撮ってみたい。日本の警察を描いたドラマなんか、どうでしょう?」

その日本が舞台のポリス映画にブラッド・ピットが出演…となれば最高だが、12年後といわず、1年でも早く実現してほしい!

『ハート・オブ・ビースト』は9月25日(金)公開!
『ハート・オブ・ビースト』は9月25日(金)公開![c]2026 Paramount Pictures. All Rights Reserved.


取材・文/斉藤博昭

関連作品