丸の内TOEIに車が激突!?『藁にもすがる獣たち』前代未聞の撮影現場にエキストラ参加してきた!
エキストラ視点でレポート!映画館に本当に車が突っ込んできた…
1階から見上げると、2階席にも特機が運び込まれており、文字どおり丸の内TOEIの遺産を隅から隅まで活用した超大規模撮影であることが伺えた。スケールの大きさにふさわしく、この日、車が突っ込んでくる映画館で映画を観ていた…という設定の観客を演じるエキストラは、約100名に及んだ。
参加者はまず、4つのグループに分けられ待機場所へ移動。今回が初のエキストラ体験となる編集部員もワクワクしながら待っていると、助監督による説明が始まった。これからどんな撮影が行われるかを明快に伝えつつ、冗談も交えて参加者を和ませる軽妙なトーク。なにせ、映画を観ていたら車が突っ込んでくるというあまりに非日常なシーンなので、テンションを上げないとよいリアクションも出ない。助監督は撮影内容を周知させることはもちろん、現場の空気を作るためにも重要な役割を担っていた。
やがて、撮影現場であるスクリーン1への移動が始まった。スタッフがモニターでの見え方を確認しながら、エキストラの着席位置を指示する。ちなみにスクリーンに映しだされていたのは、「さよなら丸の内TOEI」でも上映されていた『仁義なき戦い』(73)。本作最大の死闘を描き出すシーンにおいて、このチョイスもすばらしい。そんななか「車がここまで突っ込みますよね…ちょっと前の列に移動してもらえますか?」という物騒な会話も聞こえてくる。もちろん安全面には最大限の配慮がされているが、入口近くに座るエキストラは数席後ろに車が突っ込んでくるはずだ。ただワクワクしているだけではなく、参加する側としても常に気を抜かずにいよう!と身構える。
実際に車が入る前に、エキストラのみでテストが行われた。助監督の「ドカーン!」という声にあわせてリアクションをしてみるが、いざやってみるとこれが難しい。「オーバーにやりすぎ」「ちょっと待ち構えすぎ」と指導が入る。編集部員の隣には、エキストラとしてまぎれているアクション部が座っていたのだが、「私たちの席は車が近いからすぐ音に反応していいですよ」というアドバイスをもらい、なるほど、たしかに前のほうの座席だったらリアクションが遅れるかも…と納得。驚く演技ひとつでも奥深いものだ、と感心する。
いよいよ、その時が来た!「ではいきましょう!」。スタッフの掛け声と共に本番が始まる。スクリーン内が静まり返り、後方から低いエンジン音が聞こえてくる。「私は車が突っ込んでくるなど予想もしていない観客」…と自身に言い聞かせながら、スクリーンに大写しとなった菅原文太をドキドキしながら見つめる…瞬間、鈍く低い衝撃音が背後で鳴り響いた。
練習の成果を発揮する時!悲鳴を上げて立ち上がり、勢いよく振り返る!――フロントガラスが粉々になった車が、本当に劇場内に突っ込み、数席分の座席をドミノ倒しにしていた!
カットがかかると思わず初対面のエキストラ同士でも「すごかったですねー!」と興奮して声を掛け合ってしまった。撮影前に車が突っこむ座席付近も見学させてもらったが、通常、しっかりとボルトなどで固定されている椅子は、車がぶつかった時に倒れやすいよう細工されているようだった。床にもシートが敷かれていて、おそらく車が摩擦で引っかかることなくスムーズに滑り込めるようにしていたのだと思う。
より“暴走車が突っ込んだ感”を演出するために、スタッフたちが微調整を行っていく。一度倒された座席も元の位置に配置され、すぐさまテイク2へ。一度目よりも激しい衝撃音!半分演技ではなく本当に驚いて振り返ると、衝撃音と比例し、テイク1よりも座席が前方まで倒れ込んできていた。見事OK!自然とおお~という感嘆の声がエキストラたちからこぼれた。いったいどんな映像に仕上がるのだろう。ある意味、丸の内TOEIの最後にして最高の雄姿となるシーンになることは間違いないはずだ。
