ペニーワイズの“中の人”でおなじみ、クセ強キャラを確立したビル・スカルスガルドが『デッドマンズ・ワイヤー』で魅せる特異なオーラ
『センチメンタル・バリュー』(25)で第98回アカデミー賞助演男優賞候補になった父、ステラン・スカルスガルドを筆頭に、『ノースマン 導かれし復讐者』(22)の長男アレキサンダー・スカルスガルド、ドラマ「ヴァイキング~海の覇者たち~」の次男グスタフ・スカルスガルド、さらに五男ヴォルター・スカルスガルドまで俳優として活躍するなど、現在のハリウッドはまさに“スカルスガルド”の大渋滞。右を向いても左を向いても、スカルスガルドだらけである。
そんな並外れた才能がひしめく一族のなかでも、ひときわ異彩を放つ男がいる。四男ビル・スカルスガルドだ。世界中の観客を恐怖のどん底に陥れた『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)の邪悪なピエロ、ペニーワイズ役で一躍ブレイクを果たした彼は、公開されたばかりの主演作『デッドマンズ・ワイヤー』をはじめ、独特すぎるフィルモグラフィを築き上げている。
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(23)の鼻持ちならない権力者、『ノスフェラトゥ』(24)の血に飢えた吸血鬼、『ザ・クロウ』(24)の退廃的なダークヒーローと、ひと筋縄ではいかないクセ強キャラクターを次々と好演。ハリウッドで唯一無二のポジションを確立した。
世界になじんでいない感がスクリーンに立ち上るビル・スカルスガルドの特異な存在感
なぜ、これほどまでアクの強い役柄ばかりに挑むのか。自身の演技哲学について彼は、「すべての俳優には安全圏がある。俳優のなかには、その安全圏でできる役しかやらない人もいて、そういう人はいつも同じことの繰り返しだから飽きられてしまう。もし僕に目標があるとしたら、まったく異なる様々なキャラクターを完璧に演じ切ることだね」と語っている。そんなビルのことを父ステランも、「子どもの頃から本当になにも恐れることがなかった」と評しているほどだ。
恐れを知らない探求心に加え、最大の武器と言えるのが、192cmの長身と長い手足がもたらす身体性。そのシルエットは、普通に動いているだけでも妙にクリーチャーっぽく、不気味さと美しさが入り混じって見える。
さらに、端正なルックスの瞳の奥には、いつもまどろんでいるような不思議な空気が漂う。人間離れしたプロポーションと、ミステリアスな気配が合わさることで、この世界になじんでいない感覚がスクリーンに立ち上るのだ。どこにいても常に地上から浮遊しているような特異なオーラ。その摩訶不思議な存在感が、キャラクターに底知れぬ狂気とペーソスを与えている。
