トム・ヒドルストンが明かす『サンキュー、チャック』に刻まされたスティーヴン・キング作品の本質「恐怖や死よりも人生の“恵み”を重視するのが彼の作家性」

トム・ヒドルストンが明かす『サンキュー、チャック』に刻まされたスティーヴン・キング作品の本質「恐怖や死よりも人生の“恵み”を重視するのが彼の作家性」

「チャンスが訪れたら、冒険心を忘れずに挑むことが大事」

スティーヴン・キングが得意とするホラー描写も
スティーヴン・キングが得意とするホラー描写も[c]2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

この『サンキュー、チャック』は世界の終わりを伝えるパートに始まり、そこから数か月前にチャックが人々の前で踊るパート、そして少年時代のチャックの過去と、時間がさかのぼる3つの章で構成される。ヒドルストンがメインで活躍するのは第2章。一応、クレジットも彼がトップながら、登場シーンを合計すると、わずか19分!それを本人に伝えてみると…。

「短いとは知ってたけど、19分とは!カウントしてくれてありがとう(笑)。タイトルにチャックの名が入っていますし、第1章と第3章でもチャックの存在が観る人の心に生き続けるので、作品を背負う責任は理解していました。その責任を全力で表現したつもり。チャックは穏やかな会計士であり、優雅なダンサーでもあるので、短いながらその両面にアプローチしたわけです」。

『サンキュー、チャック』は現在から過去にさかのぼるユニークな構成で物語が展開する
『サンキュー、チャック』は現在から過去にさかのぼるユニークな構成で物語が展開する[c]Everett Collection / AFLO

生きる喜びをダンスで爆発させるチャック。映画を観るわれわれは、第1章で彼の過去を観届け、生きる喜びに浸る。その意味でハッピーエンドな作品と言える。劇中訪れる世界の終末に重ね、「もし、人生が残りわずかだったら?」と、最後にヒドルストンに投げかけてみた。

「基本的に余命は誰にもわかりません。あと6か月か、6年か、あるいは60年なのか…。もし余命半年とわかっても、そこから人間関係を大きく変えられないでしょう。もちろん残された時間は親しい人に充てますけどね。僕らは毎朝、目覚めるたびに“不確実”な一日が始まるわけで、どれだけ自分の魂をその日に捧げられるかが試されます。つまりチャンスが訪れたら、冒険心を忘れずに挑むことが大事。僕は45歳ですが、これまで多くの冒険を経験し、それがいまの自分を形成していますから」。

【写真を見る】『サンキュー、チャック』でのダンスシーンの裏側を語ってくれたトム・ヒドルストン
【写真を見る】『サンキュー、チャック』でのダンスシーンの裏側を語ってくれたトム・ヒドルストン[c]2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

トム・ヒドルストンの飽くなき冒険心。それを意識しながら劇中のダンス、およびチャックの人生に接すれば、『サンキュー、チャック』は忘れがたい一作となることだろう。


取材・文/斉藤博昭

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