「愛する人と音楽があれば何度でも立ち上がれる」ダイアモンド☆ユカイが映画『ソング・サング・ブルー』で見つけた“人生の輝き”
「マイクと一緒で浮き沈みがいろいろあった人生」
また、マイクの人生にも共感するところが多いという。「もともと僕の両親は公務員で、真面目な人たちだったから僕にも公務員をやってほしいという願望を持っていた。そんな両親の夢を以前は担おうとしていたんですよ。それで自分も大学附属の高校に入り、大学まで進学して。そうやって親が敷いたレールの上を歩いていくつもりだったんだけれど、ロックンロールという自分の夢に出会っちゃった。それで両親が描く人生とは真逆の方向にいっちゃったわけ」。
両親の期待とは違う道を選んだ理由について尋ねると「人生は一度きりだし、自分の好きなことに挑戦もしないで生きるよりは…って思ったから。でも周囲は公務員の住宅だったし、ロックスターを目指すなんて言っているのは僕くらいだったし、親にしてみれば僕が道をひっくり返したのはショックだったと思うよ。ちょうどそのころに父親も亡くなって、これでいいのかという葛藤も生まれてね。でもレッド・ウォリアーズを結成して活動し始めたら3年間で武道館まで行ってしまって…“ロックスター”にいきなりなっちゃったんだ」。
自身の葛藤や不安をよそに、順風満帆なスタートを切ったダイアモンド☆ユカイだったが…。「ただそこで僕はつけあがっちゃったんだよね。後輩バンドに先輩面したりね。そこからはスターな人生ではなく、“スターダスト”な人生になっていった。バンド解散、結婚・離婚…といろいろ続きました。マイクも成功と挫折を味わうけれど、まさにマイクと一緒で浮き沈みがいろいろあって。事務所も追い出されたし、失業保険をもらったことだってある。1人でライブハウスで演奏していたこともあるしね」。人生の厳しさ、難しさを身をもって学んだそうだ。
「子どもには、好きなことを見つけて、夢を持ち続けてほしい」
現在は娘一人、双子の息子たちがおり、妻と娘は大阪に住んでいて、それぞれの拠点で暮らしている。そんな彼の家族への向き合い方についても聞いてみた。「家族との向き合い方で大切にしていることと言ったら、執着しないってこと。やっぱり、親って子どもに対してあれしろこれしろ、こっちのほうがいいよとか、つい言いたくなっちゃうもの。でもそこに執着心は持たないようにしていないとダメ。子どもには子どもの人生があるから」。
そう考えるのは、大学生でロックンロールと出会い、“ロックスター”という夢を追いかけた、自身の経験が反映されているからだと感じる。「一番願っていることは、好きなことを見つけて悔いのない、生きてきてよかったと思えてほしいということ。そこさえ叶えばなんでもいいですよ。すべてにおいて、人間って執着しちゃうからね。それをとっぱらった時に見えてくるもの。それを子どもたちに教えるのではなく。見つけてほしいなと思うんだよね。わからせるのではなく、相手がわかるのを待ちたい。とにかく自分の一番楽しいこと好きなことができる=人生の張り合い。夢はぜひ持ち続けてほしいと思うね」。
本作は夫婦愛についても描き出している。成功を夢見て共に歩んできたマイクとクレアだが、ある出来事をきっかけに絶望の淵に立たされてしまい、関係性にも亀裂が生じることに。一度同じ方向を向けなくなった夫妻が、再び同じ方向を向いて走るにはどうするべきだと、ダイアモンド☆ユカイは思っているのだろうか。
「同じ方向を向くためのコツがわかっていたら、僕が教えてもらいたいくらいだよ(笑)。どこかの本で読んだけれど、人は正反対のタイプの伴侶と出会うようにできているんだって。それは自分の成長を促すためで。確かにマイクとクレアも同じ夢を見ているけれど、性格は正反対。2人が出会うことで共に成長していく。実際、彼らには大きな障壁が立ちはだかるし、これで人生が終わってしまうんじゃないかみたいな状態になる。だけどそれを乗り越えた時に出会いのころとは違う、大きな愛が生まれてくる。まさしくそれを教えてくれるような映画だったと思います」。
