『全知的な読者の視点から』「社内お見合い」『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』ジヌ役まで…架空の世界と現実をつなぐ俳優アン・ヒョソプの歩み
漫画原作の実写化やアニメ声優にも挑戦!
原作のウェブトゥーンから飛びだしてきたような、大企業の若き社長テムに扮したのが、ラブコメディ「社内お見合い」。祖父である会長からの命令で出かけたお見合いの席で、友人の代わりに出てきたハリ(キム・セジョン)と出会うところから物語は始まる。その後、ハリが自社の社員であることに気づかぬまま、契約恋愛を始めたテムはいつしか彼女に惹かれていく。すべての面において完璧で自信満々の社長が、正直なハリから「始祖鳥に似ている」「セリフがキザ」などと言われ、本気で怒る姿が愛らしい。2人が恋人同士になってからの甘いやりとりも必見。公私に渡って彼を支える秘書や、厳しい言葉をかけながらもテムを愛する祖父とのコンビネーションも楽しい。
韓国系カナダ人のマギー・カンが、クリス・アペルハンスと共同監督を務めた『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(25)。人気ガールズグループのメンバー3人が悪霊たちと戦うこの作品は3月に発表された第98回アカデミー賞でも、長編アニメーション賞と歌曲賞を受賞。アメリカ映画ではあるが、主人公たちが世界中のファンを魅了しているK-POPスターであるという設定や、伝統的な意匠が使われたキャラクター、さらにソウルの風景やおなじみの食べ物が次々と登場することから、“K-カルチャー”の集大成として韓国内でも熱狂的に受け入れられた。アン・ヒョソプは、悪霊の意を受け、人間たちの心を掴むため登場するボーイズグループのリーダー、ジヌ役のオリジナル・ボイスキャストとして参加。英語での演技は初めてだったというが、葛藤を抱え、主人公ルミ(声:アーデン・チョ)との対話のシーンも多い役柄を、低く心に響く声で演じた。アカデミー賞授賞式のレッドカーペットに登場したことも話題を集めた。
大好きな小説の結末を書き換えるため奮闘する主人公を演じる『全知的な読者の視点から』
ウェブ小説、ウェブトゥーンとして人気を集めていた同名原作の実写版として、早くから期待の声が上がっていた『全知的な読者の視点から』では、愛読していた小説の“中の世界”へ入り込んでしまうドクシャ役を演じている。学生時代のトラウマを抱え、都会の群衆のなかに隠れるように生きてきた彼が、怪物たちが次々と襲いかかる、ゲームのような設定の世界で仲間たちと出会い、覚醒していく姿を力強く演じ、新たなヒーロー像を見せている。「ホン・チョンギ」「社内お見合い」など、これまでも原作のある作品に出演してきたアン・ヒョソプは、原作を参考にしつつ「目の前にあるものに集中して」撮影に臨んできたとのこと。「初めての映画」というプレッシャーをエネルギーに変えて演じたという彼の、力強い演技が印象的だ。架空の世界と現実をつなぐ力を持つ俳優であることを改めて証明した。
4月22日(水)から、完璧主義の農夫を演じるラブロマンス「今日も完売しました」がNetflixで配信がスタートするほか、韓国最高の料理人を選ぶ大会のために集まってきたシェフたちの人間模様と華やかな料理が見どころの「ファイナル・テーブル(原題:파이널 테이블)」も、今年中には放送予定だ。「浪漫ドクター キム・サブ」で主人公が口にした「人々は運命を奇跡だと信じる。しかし、私はそれが人間の意志だと考えている」という言葉が好きだというアン・ヒョソプ。これからも彼自身の意思で、俳優としての道を切り開いていくことだろう。
文/佐藤結

