ティモシー・シャラメが語る、『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』に込めた並々ならぬ覚悟「俳優として全力を尽くすことに立ち返った」
「この映画のすばらしいところの一つは、時代ものでありながらリアリズムがある点」
偶然の出会いからマーティにかかわるようになる往年の女優・ケイをグウィネス・パルトロウ、ケイの夫で卓球大会の大口スポンサーの社長をケビン・オレアリーが、そしてマーティの幼なじみで不倫相手のレイチェルを新進気鋭の女優オデッサ・アザイオンが演じている。これらのキャスティングにもサフディ監督のこだわりが反映されていたという。
「キャスティングがこの映画の電流のような緊張感を生んでいると思います。去年の『ANORA アノーラ』など、ショーン・ベイカー監督の作品からも同じように感じます。この映画のすばらしいところの一つは、時代ものでありながらリアリズムがある点でしょう。ジョシュはスクリーンに映る”顔”にものすごくこだわっていて、エキストラのキャスティングも時代に合う顔かどうか徹底的にチェックしていました。(マーティがハーフタイムショーを行う)ハーレム・グローブトロッターズのシーンなんかは、NBAの名選手トレイシー・マグレディやケンバ・ウォーカーが出ています。NBAファンなら気づくかもしれません。でも『君の顔は時代に合わないな』と言われて出ていない選手もいるほどでした。もったいないことに(笑)」
「自分に与えられた本来の才能である、俳優として全力を尽くすことに立ち返りました」
『君の名前で僕を呼んで』と『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(24)で、20代にして2度のアカデミー賞主演男優賞ノミネートを果たしたシャラメは、『マーティ・シュプリーム』で3度目のノミネートを果たし、前哨戦のゴールデン・グローブ賞やクリティクス・チョイス・アワードでは主演男優賞を受賞している。順風満帆に見えるかもしれないが、風当たりの強さや雑音とも対峙しなくてはならない。現在30歳のシャラメは、荒削りでも洗練されているわけでもない現在の状況を、いまを生きることで充実させようとしている。
「22歳から26歳の間、キャリアが本当に動き出した時期に地盤がぐらつくような感覚がありました。だからこそ、『君の名前で僕を呼んで』や『ビューティフル・ボーイ』のような作品を誇りに思いながらも、大切なことを学ばさせてもらった『名もなき者』と『マーティ・シュプリーム』には特別な愛着を感じています。いまの自分の周りの雑音の中で、これらの役にしっかり向き合えたことがうれしい。俳優を始めた初期は、誰もなにも求めてこないし、外からの雑音もない。そして、同世代の俳優の中には、才能を発揮することを恐れて守りに入る人もいれば、無頓着に才能を使い捨てにしている人もいる。僕はどちらの道も歩みたくない。自分に与えられた本来の才能である、俳優として全力を尽くすことに立ち返りました」。
