ティモシー・シャラメが語る、『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』に込めた並々ならぬ覚悟「俳優として全力を尽くすことに立ち返った」

ティモシー・シャラメが語る、『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』に込めた並々ならぬ覚悟「俳優として全力を尽くすことに立ち返った」

ジョシュ・サフディ監督の最新作『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(公開中)でティモシー・シャラメが演じるのは、卓球の世界チャンピオンになることだけを信じてどこまでも突き進む男、マーティ・マウザー。『アンカット・ダイヤモンド』(19、サフディ兄弟名義)でニューヨークを代表する映画作家となったサフディが、自らを投影したようなキャラクターを描き上げ、初稿を受け取ったシャラメが映画の制作を懇願したという。シャラメは、「『ボーンズ アンド オール』を撮り終えたのが2019年だからその頃のはずだけど」と、サフディ監督に初めて会った時のことを思い返す。

『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』撮影時のジョシュ・サフディ監督(写真左)とティモシー・シャラメ(写真右)
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』撮影時のジョシュ・サフディ監督(写真左)とティモシー・シャラメ(写真右)[c] 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.

「マーティに最も共感したのは、その強烈な決意と、なりたい自分に向かって諦めない姿勢」

「いまの奥さんでもあるジョシュの当時の彼女が、『マーティ・シュプリーム』と似たような物語を考えていました。確か2018年か2019年にニューヨークで一緒に食事をして、その時点から準備を始めました。ジョシュは2022〜23年に別のプロジェクトを手掛けていたんですが、それがなくなって、少し時間ができたんです。だから僕は『ジョシュ、ほかになにもやらないで! この映画に時間を使って!』としつこくお願いしていました。ジョシュが映画を作るペースが6年に1本なので、このタイミングを逃せない、と」

卓球で世界チャンピオンを目指す野心家の主人公、マーティ・マウザー
卓球で世界チャンピオンを目指す野心家の主人公、マーティ・マウザー[c] 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.

マーティ・マウザーとして卓球のラケットを握るシャラメは、『君の名前で僕を呼んで』(17)などのアート系作品とも、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(23)のような大作映画とも違って見える。2018年から卓球の練習を始め、撮影開始に備えた。毎朝2時間かけて、分厚いレンズのメガネ、整えられていない眉、荒れた肌のマーティになり切った。そしてなにより、全身から滲み出る剥き出しの野心。これらはすべて、サフディ監督の脚本にしっかりと書き込まれていたそうだ。

「ジョシュはマーティのキャラクターに非常に具体的なビジョンを持っていました。実は裸眼にコンタクトを装着して視力を落とし、本物のメガネをかけることで目が小さく見えるようにしているんです。視力を落としたいというのはジョシュのアイデアでした。ジョシュが言ったことで気に入っている言葉があります。『生きることにどこか難儀しているようなキャラクターを作りたい』と。それは僕にとってとても大きな褒め言葉でした。サフディ兄弟が誰かをキャスティングしようとする時、それは『あなたはまだ洗練さを極めてはいない、荒削りな状態だ』という意味だと受け取っています。どこかの香水のCMに出てくるような完璧すぎる人を求めているのではなく、10代後半から20代前半の自分が持っていたような生々しい個性とか、人生のなかで少し削られてしまった部分が求められていると感じました」


新進気鋭のオデッサ・アザイオンによる熱のこもった演技にも注目!
新進気鋭のオデッサ・アザイオンによる熱のこもった演技にも注目![c] 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.

マーティこそが、「俳優としてキャリアを積む前の自分に最も近いキャラクター」とシャラメは言う。「彼は必ずしも人として称賛すべき人物ではないかもしれない。でも僕がこのキャラクターに最も共感したのは、その強烈な決意と、なりたい自分に向かって諦めない姿勢でした。その気持ちはとてもよくわかります。俳優を始めたばかりの頃は拒絶の連続で、自分を信じられるのは自分だけという状況だったので」