『閃光のハサウェイ』澤野弘之が語る、相乗効果を生み出す音楽「人の心に残るものにしたい」

『閃光のハサウェイ』澤野弘之が語る、相乗効果を生み出す音楽「人の心に残るものにしたい」

「映像と一緒になった時により相乗効果が生まれるものになればいい」

澤野がこれまでに劇伴を手掛けた「機動戦士ガンダムUC」や『機動戦士ガンダムNT』(18)では、宇宙空間を中心に物語が展開していたが、『閃光のハサウェイ』では地球、地上が主な舞台。海上での作戦行動やマフティーVS地球連邦軍のモビルスーツによる空中戦などのシーンで、澤野によるスリリングかつ高揚感あふれる音楽が各シーンを盛り上げている。この“宇宙”と“地上”という対極的な場所が舞台となる作品の劇伴制作では、取り組み方に違いはあったのだろうか?また、戦闘シーンでの爆発音やモビルスーツの起動音、金属音が劇伴の音と被らないように気をつけたりするのだろうか?そうした質問に対して澤野は「まったく考えたことがありませんでした」と笑って答えた。

迫力満点のMS戦も展開される
迫力満点のMS戦も展開される[c]創通・サンライズ

「あくまでも音楽として、映像と一緒になった時により相乗効果が生まれるものになればいいという考えなので、そういうことは意識したことがありません。こういう曲が流れたらおもしろいんじゃないかと。万が一にも音がぶつかって邪魔だとなっても、音響さんのほうで音を下げたりオフにしたりできるように、ステムデータ(音楽制作やミキシングの現場で使われる用語。曲を構成する各パートを個別の音声ファイルに分けたデータのこと)を渡してあります。前作の劇伴は、制作サイドから“宇宙やSFを感じるサウンド”というオーダーを受けて、僕が聴いてきたSF作品の音から自分なりに解釈したものを、素直にぶつけていけばいいんじゃないかと思って、『ブレードランナー』などシンセサイザーが鳴っている作品から影響を受けて作ったものです。今回はそれを『キルケーの魔女』用にアレンジしていく作業が多かった。ただシンセの音色は、前回から5年も経っているので、僕が考える“いまのサウンド感”に変換して選んでいきました」。

劇場の大音量で体感したい『キルケーの魔女』の音楽
劇場の大音量で体感したい『キルケーの魔女』の音楽[c]創通・サンライズ

小室哲哉とCHAGE and ASKAを自身のルーツに挙げ、ハンス・ジマーなどの劇伴から影響を受けていると話す澤野。現在は音楽サービスのトップ画面でオススメされている曲やヒットチャートものの洋楽を聴くことが多いとのこと。「いま、女性アーティストだったらテイト・マクレーという方がかっこよくて好きです。男性アーティストなら、『トップガン・マーヴェリック』の挿入歌も手掛けていたOneRepublicやColdplayが昔から好きで」と笑顔で語る。J-POPと洋楽のエッセンスが彼のなかでミックスされ、生み出されたのが、今回の曲だと言えるだろう。

SennaRinのCONCEPT EPとなる「LOSTandFOUND」も2月4日(水)に発売となる
SennaRinのCONCEPT EPとなる「LOSTandFOUND」も2月4日(水)に発売となる[c]創通・サンライズ

また2月4日(水)には本作をモチーフとした、SennaRinによるコンセプトEP『LOSTandFOUND』もリリースされる。「『ガンダムUC』の時は、Aimerさんと『UnChild』というコンセプトアルバムを作ったので、今回はSennaRinと作らせていただきました。先ほどお話した挿入歌もサントラ盤には映画で使われているサイズのMovie Edit ver.を収録していますが、こちらにはフルサイズが収録されています。映画、サントラ盤、そしてこのコンセプトEPを聴いて、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の世界観をより楽しんでいただけたらうれしいです」。


余談ではあるが、SennaRinはマルチな器用さで今作に登場するモビルスーツ「Ξ(クスィー)ガンダム」のガンプラを完成させたそう。澤野は『ガンダムUC』の時に「クシャトリヤ」のガンプラを手に入れたものの、「作るのは大変そうだったので、プロのモデラーの方に作っていただきました(笑)」とのこと。作ることは得意だが音楽に全振りしている澤野らしいと思えるエピソードだ。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は公開中!
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は公開中![c]創通・サンライズ

取材・文/榑林史章

ハサウェイの全貌を徹底ガイド!『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』特集【PR】

関連作品