犬山紙子&山崎まどかが語る『旅の終わりのたからもの』父と娘、そして歴史に向き合うロードムービー

犬山紙子&山崎まどかが語る『旅の終わりのたからもの』父と娘、そして歴史に向き合うロードムービー

映画『旅の終わりのたからもの』(1月16日公開)の公開記念トークイベントが1月8日にkino cinéma新宿で行われ、イラストエッセイストの犬山紙子とコラムニストの山崎まどかが出席した。

本作は激動の1991年ポーランドを舞台に、ニューヨークで成功するもどこか満たされない娘ルーシーと、ホロコーストを生き抜き、50年ぶりに祖国へ戻った父エデクが繰り広げる異色のロードムービー。民主国家としての土台を築いていた91年のポーランドの街並みをリアリティを持って再現していることでも、高い評価を受けている。

「父と娘のやり取りに『あるある!』と思うものがすごく多かった」という犬山紙子
「父と娘のやり取りに『あるある!』と思うものがすごく多かった」という犬山紙子

自身の経験をもとに、女性の生き方や育児についてのエッセイを数多く執筆している犬山だが、主人公のひとりであるルーシーと「アラフォーで世代が近い」と親近感たっぷり。本作を鑑賞したところ、「深くて重いテーマを扱いつつも、父と娘のやり取りに『あるある!』と思うものがすごく多くて。お互いにこういう齟齬や、こういうイラつきってあるよねと思った」とかみ合わない父娘の珍道中を大いに楽しみつつ、次第にそれぞれの心の傷に光が当てられる展開にグッときたという。


「親子の映画であると同時に、歴史の映画でもある」と話した山崎まどか
「親子の映画であると同時に、歴史の映画でもある」と話した山崎まどか

「家族に弱いところを見せないというマインドは、多くのお父さんたちのなかにもあるのかもしれない」

グッときたポイントは、過去や本音を封印してきた父親と、それをなんとか知ろうとする娘という関係にある様子。犬山が「私は、父にちゃんと向き合ったことがなくて。3年前に母を亡くしたんですが、母の痛みや歴史を全然知らなかったということに、あとから打ちのめされた経験がある。だからこそ『父にきちんと向き合いたい』と思っていた時にこの映画を観たので、すごく心に響きました」と目を細めると、山崎は「エデクはものすごくコミュ力が強くて、明るくて、行く先々で人を巻き込んだりする。でもどこか、上っ面なような感じもあって。愛想の良さで、いろいろなことをかわされてしまっているようなところがある。娘はそれに常にイラッとしている関係」だと分析。

犬山も「エデクのあの明るさの裏には…と感じるものもあった。家族に弱いところを見せないというマインドは、多くのお父さんたちのなかにもあるのかもしれない」と娘に隠し事をしてしまう父親の気持ちに寄り添いながら、「お父さんのトラウマが隠れていそうなところにも、ルーシーはしっかりと触れていく。『父のことを知りたい』、そこからつながって『自分を知りたい』というルーシーの気持ちが、すごく伝わってきた」と娘の放つ力強さにも共感ができたと話す。