“名前のない怪物”を描くサイコバイオレンス『名無し』佐藤二朗初原作の漫画を佐藤主演で映画化！

佐藤二朗が初の原作を手掛けた漫画『名無し』の映画化が決定。年内に撮影を行い、2026年5月に公開の運びとなる。

原作者である佐藤二朗が脚本、主演を兼任し、城定秀夫監督がメガホンをとる本作。若い客で賑わう昼下がりのカフェで、残忍な殺人事件が起こる。しかし犯人と思わしき坊主頭の中年男はその手に一切の凶器を持っていない。男が近づいて接触するだけで、触られた人が次々血を吹きだし倒れていくのだった。事件の報せを受けた警察の面々は、防犯カメラに映るその光景に言葉を失うが、捜査を続けるうちに、数年前に万引きの疑いで調書を取られた1人の男が、今回の坊主頭と同一人物であることを突き止める。その男の名前は、「山田太郎」。山田の自宅住所に行くと、そこには腐敗した1人の女性の死体があったのだった。

俳優としてだけではなく、脚本家。映画監督としても活躍する鬼才、佐藤。映画用に描いたもののお蔵入り寸前だったオリジナル脚本が書籍編集者の目に留まり、永田諒の作画によって初の漫画原作として世に出ることになった。マンガ配信サイト「コミプレ-Comiplex-」にて2024年10月に連載が始まり、今年10月29日(水)に第2巻の発売が控えるそのタイトルは「名無し」。数奇な運命を背負った異能の男の希望と絶望、そして狂気を描破するこのサイコバイオレンスは、連続殺人事件の容疑者で「山田」と呼ばれる主人公の得体の知れなさが好評を博した。佐藤が生み出したこの唯一無二の脚本から湧き出る狂気に、城定監督が映画として分厚い肉付けを施す。無軌道な殺人に手を染めていく

佐藤は「『オリジナルの実現は、いまの日本映画界の現状では難しい』。多くの映画Pが口をそろえた。諦めかけたところに声がかかる。『漫画にしないか』。だから。1巻の単行本を買ったし2巻も買うつもりの人、1巻は買ったけど2巻を買うかまだ決めてない人、単行本は買ってないけど配信は毎話見てた人、毎話は見てないけどたまに見てた人、たまにも見てないけど1回だけ見た人、佐藤二朗の願いを叶えたのは、あなただ」と今回の映画化に対してコメント。

城定監督は「脚本を一読して『おもしろいけど…コイツはなかなかの難産になるぞ』と直感的に思うと同時に、かようなやりがいのある仕事を仰せつかったことに武者震いを覚えました」と原作についてコメントしている。「自分の中の哲学や倫理観を問うてくるようなこの物語を映画に閉じ込めるには、相応の覚悟が必要であると感じています。映画史上類を見ないキャラクターである山田太郎との戦いはこれからですが、みなさまには必ずやおもしろい映画をお届けすることをここにお約束いたします！」と思いを語った。

“名前のない怪物”を、城定監督の渇いた目線と巧みな映像表現でどのようにあぶり出すのか。2人の鬼才が織りなす化学反応に期待が高まる。