初共演の広瀬すず、二階堂ふみが創出する“異次元の反応”『遠い山なみの光』本編映像

初共演の広瀬すず、二階堂ふみが創出する“異次元の反応”『遠い山なみの光』本編映像

1989年にイギリス最高の文学賞であるブッカー賞、2017年にノーベル文学賞を受賞した小説家カズオ・イシグロの長編デビュー作を、『ある男』(22)の石川慶監督が映画化した『遠い山なみの光』(9月5日公開)。本作の本編映像が解禁となった。

【写真を見る】戦後間もない長崎で出会った悦子と佐知子
【写真を見る】戦後間もない長崎で出会った悦子と佐知子[c]2025 A Pale View of Hills Film Partners

日本人の母とイギリス人の父を持ち、大学を中退して作家を目指すニキ。彼女は、戦後長崎から渡英してきた母、悦子の半生を綴りたいと考える。娘に乞われ、口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める悦子。それは30年前、戦後復興期の活気溢れる長崎で出会った、佐知子という女性とその幼い娘と過ごしたひと夏の思い出だった。初めて聞く母の話に心揺さぶられるニキ。ただ、なにかがおかしい。彼女は悦子の語る物語に秘められた“嘘“に気付き始め、やがて思いがけない真実にたどり着く。

このプロジェクトに魅せられ、世界三大映画祭や英国、米国アカデミー賞の常連であり、『キャロル』(15)などを手掛けたイギリスのプロダクションNumber 9 Filmsと、第97回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『ガール・ウィズ・ニードル』(25)などで知られるポーランドのLava Filmsが製作に加わり、3か国の合作となった本作。長崎時代の悦子を演じるのは広瀬すず、佐知子に二階堂ふみ、イギリス時代の悦子に吉田羊、ニキにはオーディションで選ばれたカミラ・アイコ、さらに長崎時代の悦子の夫に松下洸平、その父親に三浦友和。そのほか、日本パートには柴田理恵、渡辺大知、子役の鈴木碧桜らが出演。豪華実力派キャストが集結し、物語を彩っていく。

このたび解禁となった本編映像は、戦後間もない長崎で悦子と佐知子が初めて顔を合わせる印象的な出会いのシーン。冒頭、悦子は佐知子の幼い娘、万里子を追いかけ、佐知子たちが住む河岸のバラック小屋へ。家の外で洗濯をしていた佐知子と初めて出会う。普段あまり人が寄りつくことはないであろう古びた家の前まで来た悦子を怪訝そうな目で見る佐知子に対し、悦子は「はじめまして。この子、そこの橋で喧嘩しとったみたい。大勢の男の子たち相手によ」と先程あった出来事を説明する。だが、佐知子は「あなた、子どもの喧嘩見たことないの?」と長崎弁ではない話し方で切り返し、冷めた態度で洗濯物を続ける。

幼い娘、万里子と河岸のバラック小屋で暮らす佐知子
幼い娘、万里子と河岸のバラック小屋で暮らす佐知子[c]2025 A Pale View of Hills Film Partners

悦子は「でも例の物騒か事件もあることですし、気をつけたほうが…」と巷を騒がせている陰惨な幼児絞殺事件のことを引き合いに出して畳みかけるが、佐知子は「それはどうも」とまるで他人事のような素っ気ない返事をする。そんな佐知子に戸惑いながらもしばしの会話を続け、悦子が帰ろうとした時、佐知子は振り向きざまに「あなたどこの人?」と問いかける。悦子が「私そこの団地に住んどります、緒方悦子と申します」と軽く微笑み答えると、佐知子は「悦子さん、お茶でもどう?ちょっと上がってきなさいよ」と口に笑みを浮かべながら悦子を家に招き入れようとするのだった。不穏さを交えながら、少し驚き不安げな様子の悦子の表情がアップで映しだされる。

悦子の娘、ニキが母の物語の中に見つけた“嘘”とは?
悦子の娘、ニキが母の物語の中に見つけた“嘘”とは?[c]2025 A Pale View of Hills Film Partners

果たして、この2人はここからどうつながっていくのか。物語の行方、そして福間美由紀プロデューサーが「間違いなく異次元の反応が起きるだろうと全員が期待していた。撮影中も2人のツーショットの画の強さは圧巻だった」と振り返る初共演の広瀬と二階堂の二大俳優による豪華競演にも期待が高まる貴重な映像となっている。

さらに、U-NEXTでは独占配信中の特別番組「謎めぐる旅 〜映画『遠い山なみの光』を読み解く5つのヒント〜」全5話を期間限定でYouTube公開中。2024年6月から始まった本作の撮影舞台裏や、スタッフ、キャストへのインタビュー、今年5月のカンヌ国際映画祭の様子など、貴重な映像を交えながら、映画で描かれる世界観や登場人物にまつわる“謎”を様々な切り口から掘り下げる。ナレーションは松下と吉田が担当している。

本日9月4日からは最終話(第5話)が公開開始となり、全5話が9月30日(火)まで期間限定で無料公開中。映画を観る前はもちろん、観た後にも楽しめる「記憶の秘密」を巡る謎多き本作の解像度を高める注目コンテンツだ。


悦子の娘、ニキが母の物語の中に見つけた“嘘”とは。物語が終盤に差し掛かる時、観客は予想もしなかった真実に驚き、心を大きく揺さぶられることになる。先の見えない時代を生きる私たちに前へ進む勇気をくれる、感動のヒューマンミステリー『遠い山なみの光』がまもなく劇場公開される。

文/平尾嘉浩

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