『時をかける少女』小説化を記念し、細田守監督×『この夏の星を見る』山元環監督の対談が実現!
4年ぶりの最新作『果てしなきスカーレット』が11月21日(金)より公開される細田守監督が、自身の出世作となった『時をかける少女』(06)を自らの手で小説化した「時をかける少女 A Nobel based on the Animated Film」が現在発売中。その刊行にあわせて細田監督と、現在公開中の『この夏の星を見る』を手掛けた山元環監督の対談が実現した。
『時かけ』をはじめとした細田作品から多大な影響を受けたという山元監督は、大阪芸術大学の卒業制作として手掛けた『ゴロン、バタン、キュー』(15)で、“映画監督の登竜門”として知られるPFFアワード2015の審査員特別賞と観客賞(神戸)をダブル受賞。その後も東京学生映画祭や京都国際学生映画祭など自主映画界で頭角をあらわし、近年はショートフィルム、配信ドラマ、テレビドラマなどで監督を務める新鋭だ。
そんな山元監督が商業長編監督デビューを果たした『この夏の星を見る』は、直木賞作家の辻村深月の同名小説を原作にした青春映画。新型コロナウイルスが未知の恐怖だった2020年、茨城と東京、そして長崎の五島という遠く離れた場所で暮らす中高生たちがオンラインでつながり、それぞれの場所から同時に天体観測を行う“スターキャッチコンテスト”に臨む姿を描く物語。7月4日に公開されるや多くのクリエイターから絶賛の声があがり、徐々に反響が拡大。細田監督もまた、そんな本作に心打たれ、共鳴した一人だという。
「どうしたら一人でも多くの人に伝えられるか」(山元)
細田守(以下、細田)「僕が初めて監督を務めた『劇場版デジモンアドベンチャー』(99)から付き合いのある東映アニメーションのCGプロデューサーが、ぜひ観てくださいとムビチケを送ってくれたんです。同じ時期に別の知り合いからも、この映画がとてもよかったという話を聞いていて、観に行ってみたら非常によかった。そこから今日のこの場につながったわけです」
山元環(以下、山元)「ありがとうございます!まさか細田監督が観てくださるとは思っていなかったので、本当にうれしかったです」
細田「僕は東映アニメーションの出身なんですけど、『この夏の星を見る』は、いわゆる東映の映画っていう感じが全然しないよね。かつてのある種の東映の映画には、激しくて熱っぽい、いまの時代で言えば、コンプライアンスに抵触しかねないぐらいの、それこそがエンタメであるとするような傾向が強くあったと思うんです。東映時代の僕はそこにけっこう反発があったんだけど、一方でその影響下にもあることは自覚していて、愛憎相半ばするところがあるわけですよ。そんな僕がね、『この夏の星を見る』を観た時に、そうした東映らしい遺伝子を欠片も感じなかったんです」
山元「僕は東映で映画を作らせていただくことはもちろん、商業映画を監督すること自体も初めてだったので、東映らしい色合いというものを意識する余裕もなかったというのが正しいかもしれません」
細田「もともとは自主制作から?」
山元「はい、完全に野良から自力で上がってきました」
細田「僕も学生時代は自主アニメを作っていて、それを観た東映アニメのプロデューサーが声をかけてくれたのがきっかけだったから、似たようなものかもしれませんね。だけど『この夏の星を見る』は自主制作らしい匂いが一切しないですよね。これが自主制作のノリの延長だとか言われたら、むしろ『いまの自主制作ってどれだけクオリティが高いんだ!?』と言いたくなるぐらいの完成度ですね」
山元「昔から人に“伝わる”作品がずっと好きだったので、どうしたら一人でも多くの人に伝えられるかをとにかく考え抜きました。実写でコロナ禍を描く上では、リアルな現実の重みがあるなかにも、VFXを使ったカットではアニメーション的なポップさを感じられるような描写を心掛けたり」