『バレリーナ:The World of John Wick』で初登場、シリーズ最大の敵“主宰(カウンセラー)”とは何者だ?
キアヌ・リーブス主演の大ヒットシリーズ「ジョン・ウィック」のスピンオフとして、『ジョン・ウィック:パラベラム』(19)とクロスオーバーした時系列で描かれる『バレリーナ:The World of John Wick』(公開中)。アナ・デ・アルマス演じる新たな主人公イヴを筆頭に、新キャラクターやシリーズおなじみの顔が集結した本作で、特に注目すべきは“主宰(カウンセラー)”。イヴの過去にまつわる重大な秘密にも関わるこの人物の正体に迫っていこう。
まず本作のカギを握るのは、“ルスカ・ロマ”と“謎の暗殺教団”というふたつの強大な組織。前者は『パラベラム』にも登場した組織であり、表向きはバレエ団を装いながら、孤児を暗殺者として育てあげるという裏社会屈指の殺し屋養成機関。“伝説の殺し屋”ジョン・ウィックも、イヴもこの組織の出身だ。
一方、後者は裏社会の人間ですら詳細を知る者がほとんどいないという秘密結社。教団とルスカ・ロマのあいだには数百年にわたり結ばれてきた“不戦協定”が存在しており、互いに干渉せず、領域を侵してはならないという掟が厳格に守られてきた。つまり、裏社会で絶対的な権力を持つ“主席連合”の影響下にあるルスカ・ロマですら迂闊に手出しができない、裏社会における“もうひとつの最大勢力”と言える存在なのだ。
そんな教団の拠点は雪深いオーストリアのハルシュタット近辺のとある町。一見スキー客でにぎわう静かな景勝地だが、実は住民全員が暗殺術の訓練を受けた者たちで構成された“暗殺者村”。その地を代々支配してきた一族の当主こそが“主宰(カウンセラー)”であり、イヴの父を手にかけた張本人にして、自らの家族すらも粛清の対象とする冷酷な支配者だ。
この主宰を演じているのは、アイルランド出身の名優ガブリエル・バーン。『ヘレディタリー/継承』(18)でトニ・コレット演じるアニーの夫スティーヴ役を演じるなど、数々の名作で存在感を放ってきたバーンは、「彼がどんな世界で生きているのか、はっきりとは見えません。ただ極悪非道に見える者にすら人間らしい面はある。悪魔のような完全な悪人などいない。私たちが普段話に聞く悪者も皆、人間です。人間だからこそ恐ろしいんです」と、主宰という役柄の魅力を語っている。
イヴにとっては復讐の起点となり、ルスカ・ロマにとっては決して関わってはならない禁忌の存在。そしてこの「ジョン・ウィック」ワールドに深い波紋を広げる“最大の敵”ともいえる主宰。彼が支配する暗殺者村で繰り広げられる、イヴと刺客たちの壮絶な戦いは、本作の大きな見どころのひとつ。是非とも主宰の恐ろしさと、本家「ジョン・ウィック」シリーズをも凌ぐ超絶アクションの数々を、スクリーンで目撃してほしい!
文/久保田 和馬