【ネタバレあり】早くもゼノモーフが牙を剥く…シリーズのお約束も満載な「エイリアン:アース」第1・2話をレビュー
昨年の『エイリアン:ロムルス』の劇場公開以後、にわかにフランチャイズ展開が賑やかになってきた「エイリアン」シリーズ。2025年にお目見えするのは、ディズニープラスにて配信中のドラマシリーズ「エイリアン:アース」(以下、「アース」)!いやもう、『エイリアン』(79)にリスペクトを表明した『ロムルス』がおもしろすぎたので、ファンとしては期待の高まりを禁じ得ない。そんななか、配信された第1話と2話。さっそくレビューしてみよう!
舞台は2120年の地球!基本情報をおさらい
その前に、事前情報をチェック済の方には余計なお世話かもだが、基本事項を念のためにおさらい。「アース」の時代設定は2120年。これは1作目で描かれた時代の2年前だ。それ以前の時代を描いた正規シリーズの作品は、人類とエイリアンとの初遭遇を描いた『プロメテウス』(12)とその続編『エイリアン:コヴェナント』(17)のみ。1作目はもちろん、これらの前日談も巨匠リドリー・スコットが監督を務めているが、「アース」ではそのスコットが製作総指揮に名を連ねているのだから、シリーズの整合性をとるうえで、これほど心強い存在はない。
また、「アース」はそのタイトルのとおり、地球を舞台にしている。番外編の「エイリアンVSプレデター」シリーズを除けば、地球を舞台にした作品はこれが初めて。しかも、同シリーズのような南極や田舎町が舞台ではなく、「アース」の舞台は人口が密集する大都会。あの凶暴なエイリアンが文明の最前線に放たれるとなれば、これがおもしろくならないワケがない!
※以降、「エイリアン:アース」第1・2話のネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)に該当する要素を含みます。未見の方はご注意ください。
ゼノモーフ以外にも凶悪な生物が!?ナメクジのような生命体の正体とは…
それではレビューに入ろう。第1話の冒頭はテロップで、未来世界の不死の存在――“サイボーグ”“シンセ”“ハイブリッド”の3種が解説される。“サイボーグ”は肉体の一部が機械であるもので、“シンセ”は人工知能、そして“ハイブリッド”は人間の意識をシンセにダウンロードしたもの。「アース」の第1話は、このハイブリッドの誕生を描いている。そして言うまでもなく、いつの時代もこのような革新的な技術を生み出すのは大企業間の競争。以上のことは、頭の中に入れておきたい。
まず描かれるのは、すべての発端となるスペースシップ、マジノ号の船内の様子。これがコールドスリープ室から通信室、食堂まで、『エイリアン』1作目に登場したノストロモ号と瓜二つ!クルーの雇い主も同作のウェイランド・ユタニ社であることから、この船が同種のものであることは想像がつく。そしてノストロモ号と同様に、この船内でも惨劇は起こるのだから、シリーズのファンにはたまらない展開!ただしノストロモ号と異なるのは、このパニックによりマジノ号は地球に墜落してしまうのだ。
そのころ、地球ではウェイランド・ユタニ社など4つの大企業がビジネスを仕切っていたが、そこに新興のプロディジー社が参入してくる。同社のCEOはITの天才少年で、ハイブリッドを開発した張本人だ。本作の主人公は、初代ハイブリッドの通称ウェンディ(シドニー・チャンドラー)。重病の少女の意識をAIに移植された彼女は永遠に歳をとらず、しかも不死身だ。ネバーランドに飛んだ「ピーターパン」のウェンディのように無垢で、なおかつサイボーグのような超人的な体力を持っている。
マジノ号が墜落したのはプロディジー社が開発した新興の大都市エリアで、高層ビルが崩壊するほどの惨事を引き起こした。この場面は911同時多発テロの時のニューヨークの混乱を彷彿させる。プロディジー社所有の軍は市民の救出に出動。ところが、マジノ号の中には危険が潜んでいた。いうまでもなく、エイリアンだ。
マジノ号はそもそも異星生命体の標本を地球に持ち帰ることをミッションとしており、船内には様々な生物が保管されている。シリーズを観続けているファンであれば、“エイリアン”といえば、人間の顔面に絡みつくフェイスハガー、寄生して胸を突き破るチェストバスター、その成体ゼノモーフを思い浮かべるところ。しかし、本作にはゼノモーフ以外にも恐ろしい生物が出てくるようだ。拘束された兵士の顔面を這い、その命を奪うナメクジのような生命体は、いったいなに?
そんな危険な状況下で、ウェンディは救助隊への参加を志願する。理由は人間だったころの兄で、軍の衛生兵ジョー・ハーミット(アレックス・ローサー)もマジノ号の事故現場に向かっていたから。ハイブリッドにも人間の時の記憶は残っているのだ。大好きだった兄を絶対に死なせたくない。私が必ず助ける――彼女の強い意思を明確に打ち出し、次世代ハイブリット4人を引き連れて輸送機に乗り込んだウェンディ。その姿をとらえて、第1話は終了。このウェンディの闘いは、「アース」のストーリーの根幹となるだろう。