殺人の瞬間を捉えた映画は本当に存在する?映画で見る“スナッフフィルム”の残酷な世界

コラム

殺人の瞬間を捉えた映画は本当に存在する?映画で見る“スナッフフィルム”の残酷な世界

もしもスナッフフィルムの現場に遭遇してしまったら…

大金に釣られて足を運んだ現場がスナッフフィルムだったら…(『セルビアン・フィルム』)
大金に釣られて足を運んだ現場がスナッフフィルムだったら…(『セルビアン・フィルム』)[c]Invincible Pictures/courtesy Everett Collection

スナッフフィルムの現場の地獄絵図を描くパターンもおなじみ。『セルビアン・フィルム』(10)は経済的に困窮した元ポルノスターの男性が、家族のために高額なギャラに釣られて仕事復帰したら、なんとスナッフフィルムの現場だった!というもの。壮絶なゴアと共に描かれる主人公の地獄の体験は、その過激さゆえに46か国以上で上映禁止になった。

このたびデジタルリマスター版としてリバイバル公開された『ミュート・ウィットネス』も、スナッフフィルムの現場を目撃してしまったら…という“現場もの”。

声を出すことができない女性の恐怖の一夜を描く(『ミュート・ウィットネス』)
声を出すことができない女性の恐怖の一夜を描く(『ミュート・ウィットネス』)[c]1995 Anthony Waller. All Rights reserved

特殊メイクアップアーティストのビリー(マリーナ・スディナ)は、姉の恋人が監督するホラー映画の撮影のためにモスクワのスタジオを訪れたが、ある日の撮影後、忘れ物を取りに戻った際に施錠されスタジオに閉じ込められてしまう。助けを求めてスタジオを彷徨うなか、ポルノの撮影に出くわしたと思いきや、直後、女性の胸にナイフが突き立てられる瞬間を目撃してしまい、バレないようにその場から立ち去るのだが…。

スナッフフィルムのいかがわしさを物語に落とし込んでいる点もお見事(『ミュート・ウィットネス』)
スナッフフィルムのいかがわしさを物語に落とし込んでいる点もお見事(『ミュート・ウィットネス』)[c]1995 Anthony Waller. All Rights reserved

深夜のスタジオではポルノが撮影されており…(『ミュート・ウィットネス』)
深夜のスタジオではポルノが撮影されており…(『ミュート・ウィットネス』)[c]1995 Anthony Waller. All Rights reserved

犯行を目撃者した女性が体験する地獄の一夜を描いた本作。殺人の撮影がはたして本当だったのか?ニューロティックな要素も含まれており、真偽が定かでないスナッフフィルムの都市伝説的な側面を抑えたストーリーはお見事。声が出せないという設定が生みだすスリリングでもどかしい展開や、ヒッチコックやデ・パルマを彷彿とさせるアンソニー・ウォラー監督の演出など、見応えのあるサスペンスだ。

『ミュート・ウィットネス デジタルリマスター版』は8月15日より公開中
『ミュート・ウィットネス デジタルリマスター版』は8月15日より公開中[c]1995 Anthony Waller. All Rights reserved


裏社会ならではの蠱惑的なムードや真偽が定かではないからこそのいかがわしさ、過激な描写が好奇心を煽るスナッフフィルム。その世界は、安心、安全な映画の中のみに留まっていてほしいものだ。

文/サンクレイオ翼

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