特殊部隊「デルタフォース」と無人攻撃機の連携作戦から体感する、映画『ランド・オブ・バッド』で描かれる現代の対テロ作戦の“リアル”
数々の名作アクション映画に出演してきたラッセル・クロウ、アクション俳優として話題作への出演が続くリアム・ヘムズワースが共演する本格戦争アクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日(金)より公開される。アメリカ海軍の全面協力のもと、緊張感あふれる現代の戦場の状況をリアルに描き、銃器や航空兵器を絡めたミリタリー要素にこだわった本作。昨年すでに公開された本国では、Box Officeの興行収入ランキングで2週連続でTOP10に入り、米批評サイト「Rotten Tomatoes」で観客スコア93%(2025年8月13日時点)をたたき出すなど、クチコミが広がっていた。そんな本作の大きな見どころである戦場描写と映画としてのみどころを解説していこう。
前線で無人機へ攻撃指示を出す、アメリカ空軍所属「JTAC」を主軸にした新しい視点の物語
本作の舞台となるのは、フィリピン諸島に近いスールー海。南アジアの武装勢力が活動するこの地域では、それに対応するために各国の諜報機関が協力して情報収集を行っていた。そんななか、アメリカの陸・海・空、海兵隊に所属する特殊部隊を統合するアメリカ特殊作戦軍に所属する「特殊作戦コマンド(JSOC)」の協力者が元KGBの武器商人の情報収集中に誘拐される事件が発生する。これに対応すべく派遣されたのは、アメリカ陸軍の特殊部隊「デルタフォース」。そして、彼らの任務をサポートするためにアメリカ空軍所属の「JTAC(統合末端攻撃統制官)」のキニー軍曹(リアム・ヘムズワース)が部隊に随伴することになる。
本作では、こうした実際の社会情勢を背景に、実際に重要人物の人質誘拐事件が発生した場合にアメリカ軍がどう対応するのかという要素をエンタメ的な見せ方を絡めてリアルに描こうとしている。
物語が進む中で重要になるのは、キニー軍曹が務める「JTAC」というポジションだ。JTACとは、戦闘が行われている前線において攻撃機の対地攻撃誘導や帯同する部隊の航空支援を行う地上の管制官とも言える役目を担っている。近年は特殊部隊と無人攻撃機=ドローンが連携して作戦行動を遂行することが増えるなかで、部隊と共に行動し、ドローンのパイロットへの攻撃指示などを行う。
本作の大きなポイントとなるのは、JTACとドローンセンサー員との関係性。本作に登場するドローンは「MQ-9リーパー」と呼ばれる機体で、無人機とは言っても全長11m、翼幅20mという小型の航空機サイズとなっている。翼下には戦闘機や攻撃機、攻撃ヘリなどが搭載するものと同じ空対空ミサイル、対戦車ミサイル、レーザー誘導爆弾など装備することができ、さらに地表からのデータなどを集めることができる高性能センサーを装備しているため上空からの地上の偵察や情報収集が可能となっている。リーパーは空軍基地などの地上の誘導ステーションから遠隔操作され、機体を操縦するパイロットと情報の分析や攻撃を行うセンサー員の2名で運用される。JTACは現地の地上での状況を確認し、無線でドローンのセンサー員とパイロットと連絡を取り、より正確な攻撃目標を指示する役目を担っている。このJTACとの連絡を取り合うベテランセンサー員エディ・グリム大尉をラッセル・クロウが演じる。同じ空軍とはいえ、キニーとグリムは所属が異なるために面識はない。しかし、作戦を通して互いの信頼感を深め、任務の遂行をしようとするやり取りは、現代のドローンを用いた戦場だからこそ生まれる友情として物語に厚みを持たせてくれている。