吉岡里帆&水上恒司が『九龍ジェネリックロマンス』ジャパンプレミアで「恋しているもの」を告白!
映画『九龍ジェネリックロマンス』(8月29日公開)のジャパンプレミアが7月23日、TOHOシネマズ 日比谷にて開催され、W主演の吉岡里帆、水上恒司、共演の⻯星涼、柳俊太郎、梅澤美波、フィガロ・ツェン、花瀬琴音、池田千尋監督が登壇。撮影時のエピソードや劇中に登場する「私、九龍に恋をしているの」という印象的なセリフにちなみ、キャスト自身が恋しているものを告白した。
本作は「恋は雨上がりのように」の眉月じゅんの最新作「九龍ジェネリックロマンス」を原作に映画化。ノスタルジックな街「九龍(クーロン)」を舞台に、30代の働く男女の過去、現在、未来が交錯する切ないミステリーと極上のラブロマンスを描きだす。主人公の鯨井令子を吉岡、令子の先輩である工藤発を水上が演じている。撮影は全編、2024年の真夏の台湾で行われた。
この日のドレスコードは“オリエンタル”だったと明かされ、お互いの衣装をチェックし合う登壇者たち。「オリエンタルの意味がわかってなかった…」などと苦笑いしたり、「それぞれのオリエンタルがあっていい」などとわちゃわちゃ。吉岡が「柳くんだけパリコレ!」とツッコミを入れると柳は少し照れた表情を浮かべながら「僕もオリエンタルの意味がちょっと…」などと戸惑う場面もありつつ、ステージ上にはイベント冒頭からリラックスした空気感が漂っていた。
「原作が大人気の漫画なので、原作ファンにも楽しんでいただけるようにとできるだけビジュアルを似せつつ、まだ完結していないので、劇場版でできることを監督と話し合いながら進めました」と撮影を振り返った吉岡。たくさん話をしたことは池田監督も印象に残っているようで、「撮影中はお互いに『開いてやっていこう!』というのがあって。みなさんがなんでも話してくれたから、全力で応えようという想いでやっていました」と感謝しつつしみじみ。
「工藤がいかにして痛みや弱みを隠しているのかというのが前半部分での大事なところ」と話した水上は、「それがあるから、後半の出来事が活きています」と原作やアニメに触れていない方に向けて、工藤というキャラクターを見せるにあたり、意識していたことに触れていた。撮影の思い出は”暑さ”だったようで、「ホテルを出ると大きな銀行があって、そこに大きな温度計がありました。それが毎日、37、8度を指している。萎えました…」とグッタリの水上は「汗っかきなので特に大変でした」と苦労を明かしつつも、「その匂いや湿度が伝わってくる映像になっています!」とおすすめポイントをアピールしていた。
竜星は自身が演じた大企業の社長、蛇沼みゆき役について、「蛇沼はエキセントリックで怪しみのある役。ハマるかわからないなぁと不安になりました」と撮影前の正直な気持ちを明かし、印象に残っているのはロケ地の台湾で踊ったサンバだったという。「僕、サンバ踊ってます」とニヤリとした竜星は「台湾でサンバを踊っています。どういうことなのか。本編を観て(撮影は)日本でもよかったのか、みたいなことを思ったりして…」とニヤニヤ。池田監督からすぐに「この街だからこそ撮れました!」とツッコミが入っても、首をひねる竜星に、水上からも「台湾だったからこそ、あのキレがあった!」と称賛。
すると援護射撃を受けた竜星は、「アドリブで思わず『サンバ!』って出ちゃったんだよね」とコメントし、実は本人もノリノリの撮影であったことが発覚。するとちょっとご機嫌になっていた竜星に「大したことないアドリブだと思うけれど…」と、水上が水を差し始めたが、今度は吉岡が「台湾で撮った意味がある!」と竜星を擁護するターンに。その理由を「(蛇沼の)唇の潤い方。あの熱気がないとあの艶は出なかった。漫画へのリスペクトがすごい!」と絶賛した。あげたりさげたりとテンポのよいエピソードトークを繰り広げるキャストに、会場には拍手と笑い声が湧き起こっていた。
ミステリーも本作の見どころ。なので、役柄や関係性を話すことでネタバレに繋がることを気にかけていた柳。演じたグエン役については原作と違う要素も入っているとしながらも「すごく素直で、純粋で愛される人間だと思いました」とのこと。蛇沼と行動する際の「目線」に注目してほしいようで、「蛇沼がすごくかわいいから、そういう目をしている役でした」と詳細に触れないようにしながらも見どころを挙げていた。
靴屋の店主で、令子の親友になる楊明役を演じた梅澤は「太陽のように明るくて、芯があるキャラクター」と説明。梅澤について吉岡は「完全に包み込まれていました。包容力がありました」とメロメロだった。九龍のあらゆる店でアルバイトをしている小黒を演じた花瀬は「原作の小黒はフリフリとかロリータが好きだったので、衣装部さんが手作りで細かくこだわって作ってくださいました」とニッコリ。小黒の独特の話し方については「方言で行くかカタコトで行くか。いろいろと探りながらたどり着いた結果です!」と話していた。
舞台挨拶では冒頭から流暢な日本語で挨拶をしたツェン。「幼稚園のころから日本の文化が大好きだったので、(日本の映画で)神秘的なユウロンを演じることができてよかったです」と微笑み、「コミニュケーションは日本語でした」と充実感を滲ませる。吉岡は「たくさん会話をしました」と振り返り、「フィガロさんから話しかけてくれるから、やさしいなあと思っていました」と感謝。ツェンは照れながらも小さい声で「ありがとうございます」とお礼を伝えるなどほっこりとしたやりとりを繰り広げていた。
イベントでは劇中に登場する印象的なセリフ「私、九龍に恋をしているの」にちなみ、キャストがいま恋しているものを告白するコーナーも。恋しているものは「ベッド」と答えた水上に柳から「シーツはどういう系?」、竜星からは「サイズは?」、吉岡からは「(シーツの柄は)無地?」などと矢継ぎ早に質問が飛び、「そんなにツッコまないで〜」とタジタジだった水上。実はここ数日あまり眠っていないそうで「ベッドが恋しくて書いてしまいました…」とまさにいまの心境だったことを告白し、笑いを誘う場面もあった。恋をしているのは「盆栽」と答えた吉岡は「早くも隠居生活のように…」と苦笑いしながらも、「もともと植物が好きだったのですが、盆栽好きの友達から譲り受けたのがきっかけです」と恋の相手との出会い明かす。「私が見ていないとすぐ枯れる。世話が焼ける。朝起きたら、まずは盆栽と対峙」とすっかり心を奪われている様子。盆栽の総数は「40株くらいあります」とサラっと明かした吉岡に竜星が「40人の子どもがいるみたいなことだね」と驚きながらコメント。すかさず「ほんと気持ち的にはそんな感じ!平等に愛でたい、そんな気持ちです」と目を細めていた。
取材・文/タナカシノブ
※柳俊太郎の「柳」は木へんに夘が、小黒の「黒」は旧字体が正式表記